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暑い季節にぴったり! 手軽に作れるハーブのドリンクで爽やかに涼やかに

ハーブを育てて暮らしの中で生かし切る、ドイツ流の愉しみ方をまとめた『ドイツ式ハーブ農家の料理と手仕事 育てる、味わう、丸ごと生かす』。フローリストとしてドイツで12年間暮らし、現在は東京都・青梅市でハーブや野菜を有機農法で育てているlalafarmtable・奥薗和子さんが、ハーブの育て方とドイツで知った料理やアレンジを、美しい写真とともにたっぷりと紹介しています。今回は暑い時期に喉を潤してくれる、簡単で役に立つハーブレシピを2つご紹介します。
(文/山本裕美 写真/高木あつ子)

【連載第2回】 ハーブウォーターとコーディアル

【気軽に楽しめるハーブウォーター】

「汗をかいた後は、冷えたハーブウォーターで水分補給をしませんか」と、奥薗さんは提案します。水に沈む水中花のようなハーブは見た目に涼しげで、飲めばハーブの風味や味わい、香りが爽やか。汗ばんだ体もリフレッシュできます。
ハーブウォーターとは、生のハーブを常温で長時間かけて水出ししたドリンクのこと。水に長く浸けることで、ハーブに含まれる有効成分のうち、水溶性のビタミンやミネラルが水に溶け出し、体内に吸収されやすくなるメリットがあります。お湯を使わないので、高温で抽出されるカフェインやタンニンが溶け出さないというのも嬉しいですね。ハーブ特有の香りには、アロマテラピーと同じような働きがあります。

作り方はとっても簡単で、ハーブを容器の6~7割を目安に入れて、水を注ぐだけ。気温が高くなる夏は、水を注いだら容器に蓋(ラップでもOK)をして、雑菌が入らないように冷蔵庫に3~5時間入れておくとでき上がります。使用するハーブは、ミントやレモンバーム、イタリアンパセリ、ローズマリーなど、なんでもOK。カモミールなどのエディブルフラワーを加えれば、彩りもよくなりますよ。クセのあるローズマリーのようなハーブを少なめにすれば、ぐっと飲みやすく。会社勤めでも、水筒に好きなハーブ(例えば、ミントの葉)と水を入れて朝、出かければ、気軽にハーブウォーターが楽しめておすすめです。

レモンに似た香りのするレモンバームにカモミールを加えて。レモンバームには気持ちを落ち着かせたり、消化を助けたりする働きもある。


レモンバームに彩りを添えるのは、カモミール。ハーブはお好みの量でOKです。飲んでみて濃く感じたら、水で薄めて調整を。


ハーブと一緒に、ビタミンCが豊富なレモンの輪切り(できれば無農薬レモンで)を加えれば、すっきりと飲みやすくなり、暑い時期にぴったり。


【ハーブコーディアルを仕込む】

ハーブをたくさん収穫したけれど、持て余したことはありませんか。ミントやレモンバームなどは、とくに丈夫で生育旺盛です。利用法に迷ったときは、ハーブコーディアルを作りましょう。
ハーブコーディアルとは、ハーブを煮詰めて作るシロップのことです。ハーブによって風味や味わいに違いが生じるのも楽しみのひとつ。1種類のハーブで作ることが多いのですが、同じタイミングで収穫したハーブを2~3種類ミックスして作ることもあります。決まりはないので、自由に楽しんでください。それでは、ハーブコーディアルの基本の作り方を、ミントを使って紹介します。
 
用意するのは、水200㎖、ミント40g、砂糖100g、レモン汁大さじ1~2です。まずは、鍋に水と砂糖を入れて、沸騰したらミントを入れて軽く混ぜ、火を止めます。そのまま10分ほど蓋をして蒸らします。最後に濾して
、レモン汁を加えれば、ミントコーディアルのでき上がりです。密閉容器に移して冷蔵庫に入れれば2~3週間は保存できます。ドライハーブで作る際は、生ハーブの半量にするとよいです。

続いて、ハーブコーディアルの活用法を紹介します。簡単なのが、お好みの分量のハーブコーディアルを炭酸水や水で割る方法です。グラスに氷を浮かべ、生のハーブを飾れば、フレッシュな香りも漂い、爽快な夏のおもてなしに。寒い季節にはお湯でホットにしてもおいしいですよ。もちろんお酒とも相性抜群なので、お酒で割ってカクテルとしても楽しめます。

コーディアルを作るときは上部の柔らかい葉がおすすめ。下に行くほど葉は硬くなり、香りが出にくくなります。切る目安は、上から3~4節のあたり。写真はミント。
密閉容器に移したミントコーディアル。使うたびに清潔なスプーンを使い、雑菌を防ぎましょう。
グラスに、ミントコーディアルを入れてお好みの分量の炭酸水で割り、ミントとライムの輪切りを浮かべたノンアルコールカクテル。おしゃれでなんとも涼やか。

本の中では、ハーブオイルやハーブ塩など、ハーブを使った仕込んでおくと便利なレシピもご紹介しています。ぜひご活用ください。

次回は、香りで空間を演出するハーブのアレンジメントを取り上げます。どうぞお楽しみに。

【著者紹介】
奥薗 和子(おくぞの・かずこ)
鹿児島県生まれ。農家。ドイツマイスターフローリスト。2002年から12年間、フローリストとしてドイツに滞在し活動するうちに、自らの手で植物を育てたいと帰国。有機農業の研修を経て、2019年に東京都青梅市に「lalafarmtable」を開園。有機で栽培したハーブや草花、伝統野菜などを産地直送の定期便で消費者に販売するほか、レストランやファーマーズマーケットなどにも出店。雑誌やイベントなど活動の幅を広げている。
https://lala.farm/
https://www.instagram.com/lalafarmtable/