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【狩猟のこぼれ話】出猟71日でやっとイノシシが獲れた。罠猟で、はじめてイノシシを獲るまで。

こんにちは。山と川と暮らし(yamakawakurashi.com)です。

昨日、出猟(罠をかけてから)71日でやっとイノシシが獲れました。
実は私、銃所持歴もうすぐ9年になりますが、罠をかけたことはなかったんです。

今シーズン狩猟人生の中で、はじめての罠猟。やっと獲れたイノシシのことを備忘録として残します。

※山と川と暮らしは専門家ではないので「自分でやってみたことを元とした経験談や考え方」の共有になります。今までの捕獲経験として、北海道にいた3年間でシカ13頭、エゾライチョウ1羽、ヒヨドリ2羽・現住所にてヒヨドリ1羽…いずれも銃猟にて。罠は今シーズン初挑戦。

※捕獲の写真、解体の描写があります。グロテスクにならないよう配慮はしていますが、苦手な方はごめんなさい。

▲ 推敲した記事はブログでどうぞ。

かかったのは小さなウリボウ

獲れた!と言ってもかかったのは、10kgに満たないウリボウでした。

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罠をかけて71日

11月15日から猟期がはじまり、仕事の都合がつかず結局罠の設置に行けたのが、12月に入ってから。

設置をしたら毎日見回りに行かねばなりません。設置したのは職場の近く、酪農家さんが1軒と周囲には牧草地と畑が広がり、川と川沿いにつながる森がある場所です。

最初は職場から歩いて行ける距離に2つかけてみました。
出勤の日は、かかると時間がかかってしまうので前日の見回りの時に空落ちさせて(あらかじめ罠を作動させ、かからないようにする)仕事終わりに再びセット。

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前々から創作の時間が欲しいと、出勤日数を減らすよう調整。それに加え、緊急事態宣言が出てからより休みが増えました(勤務先は宿泊業)。

かけて3日目にキツネがかかり、ドキドキしながら放獣。その数日後に罠から50m離れた川沿いにイノシシの掘り返し跡とフンが大量に。それからぱったりと音沙汰なし。もっと出没頻度が高そうな場所を探してポイント変更。

捕獲を具体的に意識したら

今まで通勤路の牧草地が掘り起こされていたり、なんならイノシシに出会うこともしばしばあって。酪農家さんもいることだし、すぐに獲れるだろうとたかをくくっていました。
(酪農家さんがいる=牛用のサイレージ、堆肥のミミズ=食べ物がある)

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▲ 牧草地を掘り起こしてミミズを探すイノシシ(2019年5月9日)

実際に始めてみたら、これがなかなかかからない。

使っているのは、くくり罠。お弁当箱くらいの踏み板にワイヤーをかけて、踏んだらバネがはじけて足首をワイヤーで締めるもの。

▲ アマゾンに近いものがあった。今、罠ってアマゾンで買えるのね…。

自由に歩き回れる森の中でお弁当箱を踏ませるって、結構すごいことだなと改めて実感。

しかも、よく思い出してみれば、イノシシに出会った記憶は1年の間で数回。そもそも普段あまり出会わないものだから「よく見る」感覚になっているけど、たった年数回。…獲れる気がしなくなってきた。

「どうせかからないし」と思って、出勤日でも空落ちさせずかけっぱなしにすることにしました。

ポイント変更

「どうせかからないし」とは言え、ほかの動物がかかってしまうと困るので、見回りは休めません。仕事の日は朝、罠を見てから出勤します。

ポイント変更前は、こすり跡があった&足跡があった場所。

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▲ 樹液に毛が残っていたり、すぐ下に足跡があったりで設置場所に選定(12月4日)

かけてすぐは気配があったものの、1ヶ月ほど経過したらぱったり。季節によって出やすい場所が微妙に違うんだろうな。

変更した場所は、酪農家さんの川向こう。

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獣道を発見。どうやら川を渡って牛の餌場に続いているよう…。

このあと、雪が降ったり、それが解けて地面がカチカチに凍ったり。足跡は見かけるものの罠にはかからず。

狩猟期間が終わる

キツネが再びかかったり、罠を3つに増やしたりしつつ、猟期は残りわずか。「結局獲れなかったか…」と思っていると、久しぶりに共猟会に行った先で「有害駆除の許可が下りるから札、掛け替えて継続して良いぞ」とのこと。

本来、狩猟を行える期間は決まっていて、本州では11月15日~2月15日が一般的(地域によって差があります)。それ以外の期間は、各市町村から許可が下りた鳥獣に限り捕獲ができます(有害駆除)。

この地域では、シカ・イノシシを対象に罠猟に限り3月いっぱいまで捕獲許可が出ました。

(札とは、この罠は誰のものかを示すもの。罠の周辺に掲示する。狩猟用と有害用があるので掛け替える必要がある)

先輩猟師さんたちも今年は獲れていないらしく、「出てないから今回は有害やらねえ」という方もいて。出てはいるけどかからないのは、私の技術不足なんだろうな。

凍結地面は足跡が残らない

くくり罠は弁当箱を踏ませる必要があるので、よく通る道にかけます。よく通るので、笹原ならそこだけ笹が両サイドに傾いていたり、斜面なら段差ができて足が滑らないようになっていたり。引きで見ると小さな道になっているのが獣道です。

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▲ 傾斜をへつるように獣道が続いています(桃色線下あたりが獣道)

これ、歩きやすいので人間も思わず使っちゃうんです(山菜採りで山に入る方は経験があると思います)。

動物も一緒で、歩きやすいところを歩きたい。なので、キツネや猫などいろんな動物が通ります。でも、かかって欲しいのはシカかイノシシ。

判別するためには足跡・フンなど痕跡を見つけること。場所決めの段階では雪がなく、獣道にフンが落ちていたので「これはいける」と選びました。

でも、フンてこの辺では気温が低いので冷凍保存されたみたいにしばらく残っているんですよね…。しかも気温が上がると表面が溶けてしっとりと、まるで「出したて!」みたいなオーラをまとうのもやっかいで。すごい困る。

しばらくして、雪が降って。雪があると足跡が残りやすくなります。

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▲ 雪でわかった、イノシシの親子が牛の餌場に週1くらいで通っている

今年は雪が少なく、雪かきをするくらい積もったのは1月末に降ったきり。その雪は解けずに半月ほど残っていましたが、表面はカチカチ。雪が解けて地面が出てきてもカチカチ。なので、足跡が残りにくい。獲物が出てこなくなったのか、足跡が残っていないだけなのかがわからない。

ここの先輩方も「地面が凍ると罠を設置できない」とか「雪が積もると罠が作動しなくなる」とか、そういえばそんなこと言ってたな。一概にくくり罠といっても地域の気候によって適した方法が異なるので奥が深い。

雨降りで動きが活発に?

雨が降ると気温は低いので、地面はゆるく足跡も残りやすくなります。

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2月中旬に雨が降った翌朝、足跡がたくさんあり、びっくりしました。

雨だから活発に動いたのか、

いつもと変わらないけど、雨だから足跡が残りやすかったのか…

それとも両方?

3月5日雨が降る

午後から夜にかけて雨、翌朝いつも通り見回りへ。かかっているなんて知らなかったので、のんびり山の裾野がきれいだななんて写真撮ったりして。

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車から降りて200mほど歩いた場所にかけてあるけど、向かう途中でもう足跡がたくさん。

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「今日、なんか違うぞ」と思ったら、かかっていました。

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止め刺し・解体

急いで家に戻って、解体の道具を抱え現場に戻って。止め刺しをして、罠から外して平らな場所へ運びます。私でも片手でひょいと持ち上げられる重さ。

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秋生まれの子だろうか?週1通っていたのあの子だろうか?
そういえば、最近子どもの足跡しかない日があったっけ。

いろいろ思いながらすぐ近くの平らな場所で解体を始めました。

関節にナイフを入れないとどう頑張っても切れない場所があったり、骨に沿ってナイフを入れたくても肉に覆われて骨が見えなかったり。解体は、骨格や体の構造をある程度把握した上でやらないと手際が悪くなります。

しばらく間が空くと忘れるので、「あれ、こうだっけ…?」と思い出しながら作業します。こんなに小さいサイズでも2時間くらいかけてやっと枝肉になりました。

途中、ミソサザイが元気にさえずって、ヒヨドリがにぎやかに頭上を飛んで、どこからともなくカラスが様子をうかがっていたりして。

罠道具を入れているトートバッグにお肉も皮も入ってしまう。お肉になったイノシシと道具をまとめて、肩にかけ斜面を登る。罠をかけ直して帰宅。

帰宅後、キッチンで骨を外す

家に戻ってもまだやることはいっぱい。

ハツとレバーはこの日の夕飯に。レバニラにしよう。水にさらして血を抜きます。

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枝肉は、骨を外していきます。

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これも1時間くらいかかったかな。

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7袋になりました。冷凍してちょっとずつ食べます。

体がバキバキ、疲労感が…

一段落ついて、レバニラ用のニラを買いに近所の八百屋さんへ。
(田舎なので、17時には閉まっちゃうんです)
体が、だるい。あんな小さなイノシシだったのに、どっと疲れた自分がいる。

毛皮は鞣す予定

毛皮はこれから毛皮なめしにしようと思っていて。皮の内側の腐りやすい脂肪や肉を取る作業、これも肩が凝る&時間がかかる作業です。

大変だけど、忙しいくらいがちょうどいい。

皮の様子はまた後日報告します。

▲ 狩猟に興味のある方はこちらもよかったら見てみてください。(ブログに飛びます)

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