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手紙には #シロクマ文芸部 #六〇〇

手紙には「ままおかえりおたんじょうびのあげるものきまったからたのしみにしてね♥ うらにおへんじかいてねままだいすき♥♡◆◇★」と書いてある。これに、キスやウインクの絵文字が続く。通勤カバンのポケットから出てきた手紙だ。

娘が保育園の年少にあがってから、残業を解禁して、ずるずると忙しくなっていった。年長になって、ひらがなをずいぶん覚えた娘が、手紙を書いてくれるようになった。子どもたちが寝付いてから帰ると、テーブルの上に娘からの手紙があるのだ。裏紙に「ままえ おかえり だいすき♥♥♥♥」と鏡文字まじりに書いてある。私は、その更に裏に「むすめちゃん ただいま だいすき♥♥♥♥」と返していた。そういう手紙をどこに片付けるか迷って、通勤カバンのポケットに入れている。

今回、シロクマ文芸部のお題から思い出して、一通引っ張り出すと、誕生日のころのものだった。このときは、いつもよりも長い文章に、ほっこりしたんだった。

やがて、帰宅時間がマシになって、娘も成長して、手紙のやりとりはなくなってしまった。無限に手紙が増えるんじゃないかと思っていたけれど、意外と短い期間で、ちょっとさみしくもある。

今日は、鏡文字もなく、しっかりした文字で七夕の短冊を書いていた。ゲームをやらせると、難しい漢字が読めていて驚くことが多い。来年のいまごろも、成長した姿に驚いているんだろうなぁ。

※ だいたい600文字の生存報告「六〇〇」をやっております。

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