折田戦

負けました。あーカッコ悪い。目眩がする…まぁ今まで の人生カッコ良かった記憶あんまり無いけど… 

ご観戦、応援下さった方々ありがとうございました。結果が出ず申し訳無いです。最後の数手は棋譜も汚してしまいました。

昨年秋に対戦が決まってから、自分の中で自然と、並々ならぬ決意で戦おうという気持ちになっていきました。準備段階からかなり苦心したので、少し振り返ろうと思います。

自分の作戦選択は大きく分けて二つある。三間飛車か、三間飛車以外か。折田さんから見て自分は一番狙い撃ちしやすいだろうから、三間飛車を採用しないメリットはかなり大きいように感じた。先手番を引いて、先手中飛車や相掛かりの採用を真剣に考えた。ネットでかなり練習したし、年末辺りまで悩んだと思うが、結局三間飛車を採用する事にした。

今思えば、最初から気持ちは一つだったのかも知れない。この先、今回以上に人生を賭けて三間飛車の対策をする人が現れるだろうか?折田さんにとって、私の三間飛車を攻略出来るかどうかは文字通り人生を分けるのだ。そんなモチベーションで対策してくる人が今後何人も現れるとは思えなかった。相手は人生を賭けて来るのだから、こちらも人生を賭けている三間飛車で戦うのが礼儀というものだろう。

まぁ、結局は好奇心だった。将棋ソフト全盛の現代において、ひと月かけてソフトで研究されても通用するのかどうか?挑んでみたかった。自信はあった。

そこからは楽しかった。殆ど棋風が分からないから、全て網羅的に研究するしかなかった。急戦、左美濃、穴熊。急戦は急戦でも持久戦にシフトするような作戦も警戒した。銀は早繰り銀の形なのか?腰掛け銀の形なのか?先手番だから、手詰まりになってはいけない。50〜60手目辺りの手の作り方を掘り下げたりもした。

中でも穴熊が本命だった。三段リーグで1回だけ対戦した時、穴熊でうまく指されて完敗したので、そのイメージがあった。どの手を指されても大丈夫。というレベルで研究した。

本譜の作戦は、あまりにも最近流行っている形なので、逆に無いかなと思っていた。折田さん対策での研究は薄かったが、普段から深く研究している形なので不安はなかった。

…長々と述べたが、棋譜を観て頂いた方ならお分かりだろう。「君、そこじゃないよ。」将棋は結局中終盤の力で決まる。何度でも思い知って、何度でも泣いてきた。

「9八香」は、両取りを掛けさせて技を掛けに行った手だが、全く読みの入っていない腑抜けた一手だった。序中盤からの激しい攻防を乗り切り、一転緩やかな流れに入った瞬間、時間切迫と疲労に打ち勝てなかった。

そこからは気持ちだけで指したが、棋譜としてはあまり意味が無くなってしまった。折田さんは絶対に決めに来ない。人生を賭けるとはこういう事か。浅はかな研究を振り返りながら思った。

負けたという事実は一生残る。だが、学ぶことも多かった。糧にして強くなっていけると思うので悔いは全くない。

申し訳ない気持ちは大きい。三段の仲間からは何を言われても仕方がない。プロの意地を期待したファンの方からも厳しい言葉を掛けられるだろう。受け入れるしかない。本田くんと比較されて悔しかったが、負けてしまっては何も言えない。ハッキリ劣っていた。本田くん、君はなんとか勝ってくれ…

本田くん、池永さんに止めてもらいたいが、対戦相手の折田さんへの敬意もある。自分に無いものを持たれている方です。

長くなりましたが、最後まで読んで下さりありがとうございました。なるべく明るい記事をたくさん書けるように、今後頑張って行きます。

山本博志









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