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第17話 定番中の定番「どん兵衛 天ぷらそば」

23:50。小腹がすいたことを意識すると魔の誘惑に誘われる。「ここは我慢だ!」という理性と、「たまにはいいじゃないか」という欲求がせめぎあい、ついつい「見るだけ」と戸棚を開ける。もうここまで来てしまったらもう後には引けない。

目に入ってきたのは年越しそばにと思って買った『どん兵衛天ぷらそば』。しかしうちの家族はそばよりラーメンが好きとのことで、家族の年越しそばは僕のストックのカップ麺から好きなものを選んで食べることになり、この『どん兵衛天ぷらそば』は残ることとなってしまった。「定番商品よりは限定品など新奇なものに目が行ってしまう気持ちもわかるが、定番は長い時間、多くの人たちの支持を得てきた証でもあるのだ」と偉そうに言ってみたりしたいのだが、その年末の僕はと言うと、年に1回多くて2回食べる「すき焼き」がうますぎて、ついつい限度を越して食べてしまい、どうしても年越しそばを食べることができなかったのだ。あれは残念だった。

最近ご当地麺をいろいろと試しているが、いろいろと食べ比べていると、ふとスタンダードに戻ってきたくなる。そうなるとやはり『どん兵衛』である。

再び時計に目をやる。23時55分。このままおいておくと賞味期限が来てはいけない、食品ロスをしてはいけない、自分へのご褒美!と勝手に言い訳して包装を開けてしまう。ある本によると『自分へのご褒美』という行為は金持ちにはなれないとか・・・。しかし、百数十円が自分へのご褒美である。相変わらず安上がりな自分である。

・・・出世できないわけだ。

などといろいろと考えながらも、封を開けお湯を沸かすことだけはテキパキできる。

小袋は、『あとのせさくさく天ぷらと』、『粉末スープ」+『彩り七味』だ。さっそくお湯を注ぐ。だしのいい香りが漂う。定番ものを食べるのは、あらかじめストーリー展開がわかっている、水戸黄門(古すぎ!)のようなドラマを見るような安心感がある。食べる前から味はわかっており、期待通りの味を楽しめる。安心という要素は定番が選ばれる理由の一つでもあるだろう。

さて、それではさっそく食べることにする。ふたを開けるとだしの香りが漂う。これだよ、これ!まずは一口だしをすする。「どん兵衛!!」久方ぶりに再開した喜びを感じたような瞬間。しっかりとしただしの風味。そしてそばの食感も。どん兵衛うどんとは違い、確かにそばである。

さて、『後のせサクサク天ぷら』をどう食べようか・・・思案した結果、今回は1/4に割り、食べる十数秒前に入れることにした。30%ほどツユを吸い、サクサク感と味わいを両立するようにする。この『後のせサクサク天ぷら』、どう食べるのが一番うまいのか、皆様のご意見も教えていただければうれしい。

この定番の味にレビューはそれほど必要ではないだろう。ところでそばは日本では縄文時代に伝来したといわれる。そしてラーメンとは違ったそば通の方々も多くおられるようだ。そばの道は奥が深いようだ。何気なく食べたインスタントのそばの背景には、そんなそばの文化の上に立ち向かう開発者の方々の、並々ならぬ努力があるのだなと思う。それが百数十円である。ありがたく味わうことにする。

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