造形作家Gさんの展覧会評

Gさんの作品は、何と言うか、普通の絵画が作られるところのもっと深いところから生まれてくる、そんな感じがします。音楽や舞踊あるいは書道、そういった他の表現と共通の根っこのその近く。時間と空間、運動と造形が未だはっきりとは分化されていない渾然としたところ。一見、混沌としたオールオーバーな画面ですが、多くの作品からはある秩序が感じられます。タッチの方向、画面の中の流れ、疎密や余白のバランス…そうしたものを眺めていると自ずと私の気持はある一点に導かれていきます。その一点とは、作品に向かう作者の位置のようなもの(決して象徴的な意味でなく、具体的な距離、角度のようなもの)。やたらと動き回らない。ふらつかない。身体の位置であるとともに精神の重心でもあるような、そんな一点。Gさんがどんなことを考えて制作していらっしゃるのかはわかりませんが、その一点に自分の体を重ねると、作品が生み出された緊密な時間の表情に触れたような気がします。

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