紙やすりを台紙にする紙版画一版多色刷り技法 解説とデモンストレーション

私が考案した紙版画技法によるワークショップ、その説明とデモンストレーションです。
サンドペーパーは表面に細かい凹凸があるため、インキで汚れてもその汚れが作品用紙につきにくくなります。この特徴を利用した紙版画技法の紹介です。
豊川市桜ヶ丘ミュージアム主催ミュージアムワークショップ
「切って、はがして、ひっかいて作り 紙版画に挑戦」
2022年1月16日(日) 13:30 -15:00

図柄のパーツを切り抜き、貼り重ね図柄を構成するところは従来の紙版画と同じです。台紙にサンドペーパーを使用するところがこの技法の特徴です。こうすることで図柄のインキはしっかりと刷り取られ、図柄以外の汚れ(サンドペーパーについたインキ)はほとんど刷りとられないため、図柄のフォルムを明瞭に表現することができます。そこを押さえて作業すれば手を汚すことも少なくなります。

またここで紹介する技法には他にも三つの工夫があります。

1) ボールペンによる描画
一般的な紙版画は面表現が中心ですが、ボールペンの描画による線表現を加えています。

2) スポンジによるインキセット
インキはローラーで乗せるのが一般的ですが、ローラーでは基本的に一色のインキしかのせることができません。しかし、スポンジならば任意に色を置き分けることができます。塗り絵のように細かく色分けすることはできませんが、黒一色とは違う、色とりどりの作品を作ることができます。スポンジにより粒状についたインキのテクスチャーや版面での混色はこの技法ならではの味わいとなります。スポンジは使い捨てなので洗浄したり片付けたりする手間を省くことができます。ローラーと比べインキの使用量が少ないのも利点と言えます。

3) 掌刷り
バレンを使わず掌で刷ります。作品用紙の裏から透けて見える図柄の様子をみながら、指先と掌を使い分けたり、力の強弱を調整したり、特定の部分だけに更に力を加えたりなどフレキシブルな刷りが可能となります。バレンの準備、片付けの手間を省くことができます。

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