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兄のこと

私は兄が好きである
生まれてからずっと好きである

可愛がってもらった記憶はない
兄の友達に可愛がってもらった記憶はすごくある

だけど兄が好きである

兄は繊細な人であった
優しい人であった
繊細で優しい人である

最後の会話は呪術廻戦最新刊のことである
普通の会話が最後の会話であった
最高の会話であった
普通に話せた事が最高だった


癌だった兄
先のことを考えられないと言った兄
全身痛くても辛くても家にいた兄

お正月にはたくさん喋ってたくさん笑った

何ヶ月も前から緩和病棟に入院を勧められていた
でも家にいた
入院したら県外にいた私たち妹2人が生きている兄に会えない事がわかっていたのだ

兄は優しい

入院をした方が絶対楽だったのだ
プロに任せるのが一番だったし最後にはそうしたしそれが彼の望みだった

先週入院した
今日オンライン面会の予約日だった
間に合わなかった

彼が大好きだった下の妹に生きている姿を見せてあげたかった
それだけが心残り

しかし長い間よく頑張ってくれた
最後綺麗に本当に綺麗にいろんなことを整理していった兄

引きこもりだったり父との関係が悪かったりなんか色々あったような気もするけどとにかく私たちは大好きであった
大好きな兄がいないのはまだよくわからない
まだそこにいるし

これから悲しい実感が押し寄せてくるんだろう

やっぱり彼がいないのは寂しい

兄の作ったカレーが食べたい
兄の作った筍の天ぷらが食べたい
兄の作った名前のない料理が食べたい

まだ2日しか経ってないけどやっぱり寂しい

これから先何度も泣いてしまうけどそれは仕方がない

だって私は兄が好きなのだから
どうしても兄がいないのは寂しいのである

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