キャリア料金の基礎知識

キャリア料金についてゆっくり動画を作りました。

動画中に出る料金は税抜きで、オプションサービスなどは考慮していません。

自分で気づいたこの動画の問題点としては、1. スライドをめくるスピードが速い。2. 話の持っていき方がおかしい。3. もともと知っている人でないとたぶん理解しづらい。4. 本来詰め込む予定だった要素が詰め込めていない割に長い。5. 日本語の使い方がおかしい箇所がある。などがあげられます。

20分超と長い動画ですが、お時間があればどうぞ。一時停止推奨。


ここから動画に使った字幕とスライドを張っていきます。動画を見る時間のない方用です。

みなさんこんにちは。この動画では、ドコモ、au、ソフトバンクとスマートフォンを契約したときに毎月払う料金について説明するよ。「そんなの知っとるわ」という声が聞こえてきそうだけど、意外とよくわかってないという人も多いのではないでしょうか。

この動画の構成は画面のようになっています。この動画を作った動機は、携帯料金引き下げに関することが最近メディアやSNSで定期的に話題になってますが、みんなが話している内容を見ていると、キャリアへの不満は「スマホの料金が高い」という声と、「料金プランが複雑でわかりにくい」という声の2点に集約されていると感じました。そこで、とりあえず現状を整理してみようと考えた次第です。

多くの消費者が考えているのはこんなところでしょう。2015年9月に安倍総理が「携帯料金が家計を圧迫している」という認識から、高市総務相に携帯料金の引き下げを指示しました。そして同年10月、総務省は『携帯電話の料金その他の提供条件に関するタスクフォース』を編成し、3キャリアとの協議が開始しました。その後、タスクフォースや3キャリアの動向などがたびたびニュースになっていますが、われわれ消費者にとっては、「料金が高いままで今後安くなる気配がないし、プランの複雑さも改善される気配がない」という印象をもってしまっているのではないでしょうか。

また、消費者は、「MVNOってのに乗り換えたらスマホの料金が安くなるらしいと聞いたけど、どうしたらいいかわからない」し、「そもそも今契約しているキャリアの料金がどうなっているかもわからない」と思っているかもしれません。なので、とりあえずこの動画でキャリアの料金体系を学んでみましょう。なお、この動画ではドコモを例にとって説明しますが、偶然なことにauもソフトバンクも細かい名称が違うだけで全く同じように考えることができます。

とりあえず結論から。毎月払う料金は、基本通信料と端末の分割代金を加えたものから、月々サポートというものを引いた額です。順に見ていくよ

ここから「基本通信料」というものを説明していきます。なお、「基本通信料」という言葉は勝手に作った言葉なので一般的な名称ではないことを先に断っておきます。基本通信料とは、キャリアに払う料金の中で通話やデータ通信にかかる料金だと思ってください。基本通信料には「電話かけ放題+データパック」と、「通話従量制+データ7GB」の2種類の料金体系があります。

キャリアと契約している人は自分がどちらの料金体系で契約しているかご存知でしょうか。スマホを契約した時に、「自分は割と通話をするかな」と考えた場合は「電話かけ放題+データパック」、「あんまり通話をしないしデータ中心でいいや」と考えた人は「通話従量制+データ7GB」プランをそれぞれ契約していると思います。

それぞれを詳しく見ていく前に何点か補足をします。ドコモは「通話従量制+データ7GB」の方を2014年8月31日をもって受付を停止しているので、これ以降にドコモと契約、あるいはスマホに機種変更をした人は、全員「電話かけ放題+データパック」の方を契約しているはずです。

スライドに書いてないけど、ドコモが廃止した「通話従量制+データ7GB」の方を「旧プラン」、今もある「電話かけ放題+データパック」の方を「新プラン」と呼ぶことがあります。

また、家族で契約している場合には、特にドコモの場合は「電話かけ放題+データパック」と非常によく似た「電話かけ放題+シェアパック」というものを契約している可能性が高いです。これについてもはじめは説明しようと思いましたが面倒なのでやめました。

最後に1点補足します。2つの組み合わせは、キャリアによって呼び名が違います。もちろん中身は変わらないので表のように読み替えてください。

それでは具体的に見ていきましょう。「電話かけ放題+データパック」の場合、「基本通信料」は「月額基本通信料(通話定額料)」と「インターネット接続料」と「データ容量パック定額料」を合計した額です。これらのうち人によって異なる可能性があるのは「月額基本使用料」と「データ容量パック定額料」です。次のページでドコモを例にして詳しく説明します。

この図はドコモの「電話かけ放題+データパック」プランである「カケホーダイ&パケあえる」プランの説明ページから拝借した図に手を加えたものです。月額基本使用料は通話定額料と一体になっていて、「カケホーダイ」と「カケホーダイライト」のいずれかから選ぶことになります。「カケホーダイ」の方は24時間通話何分でも定額、「カケホライト」の方は通話一回につき5分まで定額で以降は従量制です。たくさん通話する人は「カケホーダイ」、そうでもない人は「カケホライト」にしていると思います。おそらく1000円安いこともあり、「カケホライト」にしている人が多いかもしれません。この新プラン設立当初は「カケホーダイ」しかなかったのですが、2015年9月25日に「カケホライト」が新設されました。そのため2015年9月25日以前に契約した人でそれっきりという人は1000円高い「カケホーダイ」の方になっていると思います。

隣の「インターネット接続サービス」というのは端末がインターネットに接続するために払うプロバイダー料金だと思ってください。これがないとデータ通信ができません。キャリアによって名前が異なりますが、すべて300円です。

さらに隣の「パケットパック定額料」というのは、あらかじめ決まった容量のデータ通信を利「データSパック3500円でもよかったな」、と考えたそこのあなた、残念ながらデータSパックにするとのちに説明する「月々サポート」というものが減額される上に、用するための料金です。データSパックなら2GB3500円、データMパックなら5GB5000円という具合で、これを超えると月の終わりまでデータ通信速度が制限されます。表をよく見ると「カケホライト」にしている場合は「データSパック」を選択できないようになっています。そのため、「カケホ」「カケホライト」に関わらず多くの人は「データMパック」にしていると思われます。表はドコモのものですが、auもソフトバンクも先ほど言った細かいことも含めて同じです。

要は、「電話かけ放題+データパック」プランを契約しているほとんどの人の「基本通信料」は、2700または1700円+300円+5000円=8000または7000円になっているはずです。

次に「通話従量制+データ7GB」プランの料金体系について説明します。「基本通信料」は、「月額基本使用料」と「インターネット接続料」と「データフラット定額料」の合計です。こちらは「電話かけ放題+データパック」と違って人によって異なる要素はありません。次のスライドで詳しく見ていきましょう。

図はauのLTEプランとソフトバンクのホワイトプランの料金図です。このプランの受付を停止したドコモのXiプランを契約している人も、名前が違うだけで同じだと考えてください。下のソフトバンクの「ホワイトプラン」のところの下にある「標準プラン」と書いてあるところは無視してください。これは2年縛りがない場合の基本使用料ですが、ほとんどの人は2年縛りありだと思うので上の2年契約の方を見てください。

今2年契約・2年縛りといいましたが、2年縛りは月額基本料金というやつが関係していて(かけ放題+データパックプランも同様)、これを更新月以外に解約すると2年縛り解約金がかかります。そのためキャリアを解約しなくてもカケホライトやホワイトプランなんかを解約すると2年縛り解約金がかかります。そんな人はほぼいないでしょうが。そしてこの月額基本料が934円です。通話従量制+データ7GBプランの場合なににかかっている料金なのかはわかりません。

次に、auのインターネット接続料とソフトバンクのウェブ使用料というのは同じもので月額300円です。これは電話かけ放題+データパックプランの時と同じです。

最後に「データフラット定額料」について。これは電話かけ放題+データパックの説明にあったデータパックの7GBバージョンだと思ってください。これが5700円。auの場合は「LTEフラット」、ソフトバンクの場合は「パケットし放題フラット」という名前です。

要は、「通話従量制+データ7GB」プランを契約している人の基本通信料は、934+300+5700=6934円です。かけ放題+データパックと比べて通話が従量制になった代わりに、データ通信容量が2GB多くて合計金額はカケホライトと同じくらいですね。

以上、長々と説明しましたが、キャリアと契約する多くの人の基本通信料がだいたい7000円か8000円であることを認識してもらえれば十分です。

基本通信料についての説明は以上で終了です。次に残りの「端末の分割代」と「月々サポート」についてみていきましょう。

「月々サポート」とは、キャリアの言ういわゆる「実質価格」を計算するときに関係するものです。「実質価格」や「実質0円」という言葉を聞いたことがあると思います。簡単に言えば、一定の条件を満たした場合に、毎月払う「基本通信料」から一定額を割り引く施策です。「一定の条件」は普通にキャリアショップに行って2年縛り契約をしている人は満たしていると思われるので詳しくは述べません。

一点補足します。「月々サポート」はドコモの施策の名称ですが、auもソフトバンクも名前が違うだけで全く同じ施策を行っています。auは「毎月割」、ソフトバンクは「月月割」です。ちなみに、総務省はこれらのことを「スマートフォンの端末購入補助」の一つだと考えているようです。

それでは具体的に見ていきましょう。この図は2013年に発売されたドコモ版iphone5s16GBモデルの端末価格・月々サポート額を示したものです。「一括購入額」とは、他の家電製品などのようにイコール端末価格だと考えていいです。この「一括購入額」を24で割ったものが毎月支払う「端末分割購入代(図では割賦購入額)」です。なお、分割回数をいくつか選ぶことができますが、2年間で分割している人が多いと思うのでこの動画では24回で考えることにします。また、契約時に先に一括で「一括購入額」分の代金を支払えばもちろん毎月の端末の分割代金はかかりません。家電量販店だとポイントが付くことがあるのでそうしている人もいるかもしれませんね。

それではこのiPhone5sの毎月の端末分割代を計算してみましょう。一括購入額は95760円なので、95760/24=3990円が毎月払う端末代です。月々サポートについて見てみましょう。毎月の「基本通信料」からの割引額である「月々サポート」額が3990円であり、この額は毎月の端末代と一致しています。そうすると見かけ上、月々サポート額と毎月の端末代が相殺されてそれが2年間続くので、端末代が0円になったように見えます。これが「実質0円」の正体です。次のスライドで図解します。

月々サポートにより基本通信料が3990円割引され、「カケホライト+データMパック」プランを契約している場合、毎月キャリアに払う料金は、割引された基本通信料3010円に端末代3990円を加えて7000円になります。このキャリアに払う7000円という額は、割引前の基本通信料と同じ額ですね。なので端末代金を払っていないのと同じように見えるために、これを「実質0円」と呼んでいるわけです。

注意点について。

月々サポートはあくまでも「基本通信料」からの割引であるため、端末代は一切割引されていないことに注意してください。

実質0円、実質価格というのは2年間同じキャリアに契約し続けることによって実現されます。

24か月以内に解約すると、2年縛り解約金に加えて残りの端末代金がまとめて請求されます。しかも解約月には月々サポートは適用されません。要は、「2年間7000円支払い続けたら通話通信込みで最新ハイエンドスマホを使わせてあげます。約束を破ったら罰金です。」というものです。

問題点について。ここからは作者の私見です。

ほかの家電製品と違ってキャリア契約と紐づけないと端末は買えないのに一括価格の決定基準が不明確です。先のドコモ版iPhone5s16GBの一括価格は95760円でしたが、同年11月にアップルストアで国内販売されたSIMフリー版同型機は71800円でした。この価格差はなにに起因するものなのでしょうか。

月々サポート額を操作することによってキャリアは端末の実質価格を自由に決めることができます。端末メーカーとキャリアの力関係が実質価格に反映されます。例えばアップルなどの人気端末メーカーの機種は月々サポート額が高くなっている一方で、他のメーカー製端末は月々サポート額が低く抑えられてしまいます。

月々サポート額は機種によって異なるばかりか、同じ機種でも時期によって異なるキャンペーンの適用有無、新規機種変MNPによっても異なるため、消費者にとっては非常にわかりにくいです。

新しくて性能の高い端末と古くて性能の低い端末の月々サポート額に差がなく、場合によっては前者の方が月々サポート額が高い(実質価格が安い)こともあり、型落ちや安い端末で十分と思っている消費者も割高な利用料を払わなければなりません。

すなわち、キャリアが売りたいと思っている端末は新しくてハイエンドでも維持費が安くなったり、あまり売りたくない端末は古くて性能が低くとも維持費が高くなったりします。

この制度は、端末価格と通信料が分離されているとはいえず、消費者にとっては何にいくら払っているのかが不明瞭です。

中でも一番自分がおかしいと感じているのがこれです。2年間の端末分割支払いが終わると月々サポートも消えてしまいます。このため、2年を超えて同じ端末を使い続けると、端末の支払いが終わったにもかかわらず無割引の基本通信料を払うことになります。なので端末の支払いの完了前後で支払額がほとんど変わりません。古い端末を長く使っている人は相当損をすることになります。新しい端末に機種変更しても毎月キャリアに払う料金は変わらないと言えば聞こえはいいかもしれませんが。

さっきのドコモ版iPhone5s16GBを例にとります。端末を買って2年間にキャリアに毎月キャリアに払う料金は、説明した通り、7000円です。アップル製品は長く使えるので、2年を超えてもまだ使えると思って機種変更をしなかった場合でも7000円払わなければなりません。

おかしいですよね?

2016年初めに総務省のタスクフォースを受けてキャリア、というかソフトバンクとauはデータ量が少ない1GBプランを用意しました。「割高だ」と思った方も多いでしょうが、割高な上にこのプランを選択すると月々サポート額も減少してしまいます。このため、1GBプランなのに5GBプランの方が維持費が安くなるという事態が発生し得ます。このプランにアリバイ作り以上の意味はないと思います。

キャリアは「新しくて性能の高い端末を、電話かけ放題+5GBデータプランまたはパケットフラット7GBプランで、きっかり2年ごとに使いたい」という人にはいいのですが、逆にそれ以外の使い方をしたい人には割高です。ここにMVNOの付け入る隙があるのです。

以上で一応終わります。

本当は「一括0円」、現在実質0円に変わる存在となった「端末購入サポート付き一括0円」、「MNP乞食」、「総務省の考え」についても説明するつもりでしたが、20分超という長い動画になった上に作者も疲れたのでここまでにします。

ここまでの内容はおおむね2015年9月のタスクフォース立ち上げ以前までの話です。「実質0円」の話など、やや陳腐化している内容はありますが、現況を理解することに役立つと思います。

それではここまで視聴していただいてありがとうございました。

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