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博物館資料保存論 レポート(設問形式)⑧

【問】「二酸化炭素による殺虫処理」および「低酸素濃度処理」について簡潔に紹介せよ

私の書いた回答はこちらです↓↓

博物館での防虫対策の一つには科学的薬剤を用いない殺虫処理があり、その処理には二酸化炭素による殺虫処理、低酸素濃度処理などがある。
 二酸化炭素処理は材質への適用範囲が広く、資料一般に用いることを可能としている。その他の殺虫手法に比べると安価で多くの資料を一度に処理できるという特徴がある。近年で空気を通さない素材でできている大型ファスナーバッグでの利用も広まってきた。その処理には二酸化炭素濃度を60~75%で実施し、温度条件を25℃±5℃では2週間程度かかるとされる。
 また、低酸素濃度処理では通常は0.3%以下という低い酸素濃度を保つことで殺虫処理を行う。周辺の温度により異なるが処理期間は1週間~3週間程度で、温度が高いほど速い効果が現れる。
 他に酸素濃度を低くする手段としては、小型資料の場合では酸素不透過の特殊フィルムの袋に資料と脱酸素剤を入れて酸欠状態を作る、大型資料の場合では窒素やアルゴンなど不活性ガスで処理空間内の空気を置換する、さらに簡便な方法としては大型ポリエチレン袋を用い、不活性ガスを流し低酸素濃度状態を維持する方法などがある。

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