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通信制大学で学芸員資格を取得した時のレポートを公開しています

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#博物館資料論

博物館資料保存論レポート(調査課題①)

博物館資料保存論の調査課題では、今まで設問レポートで学んだことを基に実際に博物館を訪問し、資料保存の現実を調査してきました。色彩検定1級を取得後の課題だったので、照明や色温度については理解しやすい科目だと思いました。(※私個人の感想です) 【調査課題】 博物館(美術館・動物園・水族館・植物園を含む)を訪問し、資料を保存するために工夫している点を見つけて紹介せよ。なお、対象の資料をカメラで撮影し、印刷したもの(現像したものでも可)を添付すること。撮影する際は、撮影可能な資料か

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博物館資料保存論レポート(調査課題②)

博物館資料保存論の調査課題は1つ出せばよかったのですが、博物館を回るのが楽しくて2本のレポートを作成しました。こちらは2本目の調査レポートです。博物館資料保存論はS評価を取ることが出来ました。 お札と切手の博物館資料の紹介 「独立行政法人国立印刷局 お札と切手の博物館」は国立印刷局が製造した歴代のお札や切手を所蔵しており、名の通り紙幣や切手といった紙媒体の資料を扱う博物館である。コインの所蔵・展示は行っていない。

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博物館資料保存論 レポート(設問形式)⑰

【問】『「民衆を導く自由の女神」の輸送』で実施された工夫について簡潔に紹介せよ。 私の書いた回答はこちらです↓↓ 「民衆を導く自由の女神」の輸送で実施された工夫について 1.絵画のサイズと日本での輸送および展示期間 「民衆を導く自由の女神」はフランスのルーブル美術館所蔵の油彩画資料である。画面寸法縦2.6m、横3.3m、重量約200㎏(額縁を含む)と大型絵画であるため輸送と展示には様々な創意工夫と国際的協力が必要であった。パリ―東京間の往路が1999年2月17日~2月

博物館資料保存論 レポート(設問形式)⑯

【問】「油絵の修復方法」について簡潔に説明せよ。説明の際は次のキーワードを用いること。(絵具層の浮き上がり接着・両面洗浄・支持体の変形修正と補強・裏打ち・ストリップライニング・絵具の剥離箇所への充填整形・補彩・保護ワニス) 私の書いた回答はこちらです↓↓ 油絵は顔料と乾性油を練り合わせて布や板に絵を描いたものである。時には紙や絹に描かれたものもある。顔料は粒子が細かいものが微細であることが好ましく、乾性油は主に亜麻仁油、けし油が使用されている。油絵の具に含まれる乾性油が空

博物館資料保存論 レポート(設問形式)⑮

【問】「紙資料の修復方法」について簡潔に説明せよ。説明の際は次のキーワードを用いること。(フラットニング・剥落止め・クリーニング・本紙の補填、強化・脱酸化処理、漂白) 私の書いた回答はこちらです↓↓ 紙資料を修復する際はまず肉眼および赤外線、X線など各種光線を用いて紙の産地並びに製造時期の推定や劣化原因の推定などの材質調査をしたうえで修復方法を検討し、実際の作業に入る。  紙資料の修復方法には「フラット二ング」、「剥落止め」、「クリーニング」、「本紙の補填、強化」、「脱酸

博物館資料保存論 レポート(設問形式)⑭

【問】資料の構造調査(三次元的材質調査法)について簡潔に紹介せよ。 私の書いた回答はこちらです↓↓  博物館資料の構造調査は骨格構造調査だけを指していると思われがちではあるが、資料保存のための表面腐食層の解析などの調査も行われているこの資料の構造調査を三次元的材質調査法と呼ぶ。  例を挙げると、油彩画における重ね塗り技法では色彩の異なった絵の具の重層化により混色では得られない固有の色彩効果を得ることが出来る。金属工芸の着色技法として広く用いられている煮色着色法(煮込み着色

博物館資料保存論 レポート(設問形式)⑬

【問】材料調査法のうち「サンプリング(試料採取)調査法」について簡潔に紹介せよ。 私の書いた回答はこちらです↓↓ 最小限ではあるが資料の破壊を伴う調査法がサンプリング(資料採取)調査法である。サンプリングした資料分析に広く用いられるのが電子顕微鏡であるが、そのなかでも特に走査型電子顕微鏡(SEM)とそれに付属する分析装置(電子線源、試料室など)がよく用いられる。この方法では資料に照射された電子エネルギーより二次電子を操作位置に同期させて像を得るがこの像のことを二次電子像(

博物館資料保存論 レポート(設問形式)⑫

【問】材料調査法のうち、「非破壊調査法」について簡潔に紹介せよ。 私の書いた回答はこちらです↓↓ 資料を破壊せずに資料の材質や状態を調査する方法が非破壊調査法である。  持体が紙か布またはその他の材料化を調べるためには光学顕微鏡でまず観察を行う。表面の観察で得られた特徴より材料を同定していく。ただし、非破壊検査調査には限界があり、さらに詳しく調査するためには、繊維一本程度を対象資料より採取し繊維が持つ形態や染色性などの特徴から材質を明らかにしていく必要があるが、これは非破

博物館資料保存論 レポート(設問形式)⑪

【問】火災・地震・水害・犯罪等、各種災害に関する被害の防止と対策について簡潔にまとめよ。 私の書いた回答はこちらです↓↓ 火災 火災が博物館資料に与える被害としては、資料そのものの焼失、火災による温度上昇や燃焼の際に発生するガスや煤、消火剤の残留、分解ガスの影響などがあがる。博物館資料が火災にあった場合、その後の対処を保存の専門家に相談することが必要となってくる。  火災が発生した場合の対処として消火作業は当然ながら必要であり、その作業には酸素濃度もしくは燃料濃度を下げ

博物館資料保存論 レポート(設問形式)⑩

【問】正倉院における現在の宝物点検について簡潔に紹介せよ。 私の書いた回答はこちらです↓↓ 正倉院西宝庫では年に1度、秋季定例開封行事「開封の儀」が行われる。古来のような資料を太陽に当てる、外気に曝すことはなくなり、“曝涼”と呼ぶより“作業”と呼ぶ方がふさわしくなっている。  点検は保存課職員の全員で行い、1日の作業時間は午前10時~正午までの2時間、午後は13時~15時までの2時間の計4時間に限定されているが、この作業時間が集中力持続の観点から妥当とされている。他の時間

博物館資料保存論 レポート(設問形式)⑨

【問】カビの発生後の対応について簡潔に紹介せよ。 私の書いた回答はこちらです↓↓ カビ発生後の対応については下記の手順となる 1、緊急度を判断する カビの発生状況が部屋全体なのか一部の空間だけかなどの発生状態、胞子の有無、カビの色、乾燥しているか否かなどのカビの程度を調査する。この時に調査結果を平面図に書き込むと被害状況が把握しやすくなる。また、カビの胞子をテープなどでサンプリングしておくと後の参考資料になる。 2、カビが発生している資料はほかの資料から隔離する 厚手

博物館資料保存論 レポート(設問形式)⑧

【問】「二酸化炭素による殺虫処理」および「低酸素濃度処理」について簡潔に紹介せよ 私の書いた回答はこちらです↓↓ 博物館での防虫対策の一つには科学的薬剤を用いない殺虫処理があり、その処理には二酸化炭素による殺虫処理、低酸素濃度処理などがある。  二酸化炭素処理は材質への適用範囲が広く、資料一般に用いることを可能としている。その他の殺虫手法に比べると安価で多くの資料を一度に処理できるという特徴がある。近年で空気を通さない素材でできている大型ファスナーバッグでの利用も広まって

博物館資料保存論 レポート(設問形式)⑦

【問】屋内物質の対策をたてるにあたっては、「回避・遮断・発見・対処・復帰」に分けて対策を立てることが大切である。 その基本原則(5つ)を記載せよ。 私の書いた回答はこちらです↓↓ 1.汚染物質を館内に持ち込まない 2.館内で汚染物質を発生させない 3.汚染物質が発生したらすぐに取り除く 4.展示ケースや収納箱などのせまい空間に注意する 5.処置が置かれている環境を監視する 【問】空調機について簡潔に説明せよ。説明の際は以下のキーワードをもちいること。 (換気・温度・湿度

博物館資料保存論 レポート(設問形式)⑥

【問】以下の室内汚染物質の測定手法について簡潔に説明せよ (変色試験法(簡便法)・パッシブインジケーター法(簡便法)・ガス検知管法(簡便法)・精密法 私の書いた回答はこちらです↓↓ 1.変色試験紙法(簡便法) 室内及び展示ケース内の環境が酸性かアルカリ性に偏っていないかを確認するための方法。数種のPH指示薬をグリセリンで溶かした 試験液に濾紙を浸し余分な液を除去した後に室内に一昼夜放置して実施する。PH(ピーエイチまたはペーハー) の記号で表現するが汚染物質の判別はできな