敷金返還請求訴訟の合意管轄

1.はじめに

少し前ですが、敷金返還請求訴訟を提訴したことがあります。そのときは既に遠方に引っ越していたので、相手方と裁判所の管轄地について争いがありました。
裁判本編の内容はグダグダだったので触れませんが、合意管轄については「裁判官ってカジュアルに判断するんだな~」と思ったので記録に残そうと思います。
移送決定の判断は事件の内容や裁判官によると思いますので、あくまで一例としてお読み下さい。

2.裁判の概要

2.1.あらまし

敷金返還請求訴訟の原告は元賃借人で、被告は元大家です。
原告が賃貸アパートを退去した後に、敷金返金額について元賃借人(原告)、不動産業者、大家(被告)の三者で書面のやり取りをしたものの折り合いがつかず訴訟に発展しました。
原告は自分の居住地の裁判所で提訴したところ、被告が答弁書で契約書の合意管轄の話を持ち出してきたので、裁判所が移送申し立てがあったと判断しました。

3.管轄地に関する原告と被告の主張

3.1.被告(元大家)の主張

被告の答弁書には「契約書で約束した合意管轄の条項を守れ。社会人として当然だ!」(ほぼ原文)とありました。契約書で指定された管轄は、"大家の居住地"です。
余談ですが、被告の答弁書には根拠法は書かれてはいませんし、原告への説教調で書かれていました。ですので、この内容から裁判所が移送申し立てがあった読み取ったのは大きなおせっかいだったと思います。

3.2.原告(元賃借人)の主張

被告から移送の申し立てがあったとして、裁判官が移送の判断をすると連絡がありました。原告から意見書を提出することが出来るので、以下の内容を詳細に書いて送りました。
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(1) 財産権上の請求なので民事訴訟法5条1号により、義務履行地である原告の住所を管轄する裁判所で審理すべきである。
(2) 契約書の合意管轄条項は不動産業者が変わっても存在し、賃借人側が選べるわけではないので、今回のケースでは消費者に著しく不利であり消費者契約法10条により無効である。
(3) そもそも契約書の内容からいっても全額返金するのが順当であり、契約書の合意管轄の条件(”争いがある”)を満たさない。
(4) 当該の賃貸物件には新たな賃借人がおり、証拠が維持されているわけでもなく、被告が指定する管轄地で審理する利点がない。

4.提訴した裁判所の裁判官の判断

ここからは、裁判官の判断と自分の感想をかいつまんで記載します。ここから有料です。
特定されても嫌なので移送申し立ての判決全文は載せません。それを期待している人は読むのはやめておいた方がいいです。(要約しか書いていません)

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