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『ふざけんじゃねぇ』

1.「いのち」
孤独繊細長渕、文学的長渕、アウトロー長渕が、絶妙な配合具合での三位一体
圧巻名曲
(歌詞中の「道は後ろにあった」という一節は高村光太郎の詩の引用)


2.「上を向いて歩こう」
カバー曲だからか、のびのびとした様子の長渕
笛吹ちゃんのギターもしぶい


3.「英二」
歌い出しから「糞まみれの公衆便所」とか「真っ赤な血のションベン」とか、糞尿まみれで俺たちの英二像が台無し


4.「ひまわり」
喜納昌吉の「花」のような歌を狙って作って失敗
表層だけなぞっても普遍にはなりえない


5.「かりそめの夜の海」
メロディメーカーとしての長渕


6.「あなたとわたしの物語」
「折り重なる堕落」とか長渕には珍しいワードセンスが聴ける


7.「しあわせの小さな庭」
優しさと赦しがテーマのこのLPの核
スリーフィンガーで綴る長渕家の私小説
夫として父親として家族を見守る長渕の視線が優しく寛容で、
「君も昔少女だったささやかな暮らしでも大切な人がいたはず」と奥さんの昔の男関係にまで思いを馳せる描写が、唸るほど上手い
写真家が写真を撮るように、歌手として家族の成長の記録を歌で残したかったのかな
文句なし傑作


8.「金色に輝け50年」
師匠西村公朝先生(2003年没)からの依頼で、先生と奥さんの金婚式のお祝い用に書いた曲
先生50周年おめでとうございます


9.「ふざけんじゃねぇ」
口だけの調子良い野郎のことを「貴様のもつれた舌の根本にゃちぢれっ毛がじめじめ生えてくる」と喩えた長渕の珍奇なセンスさいこう


10.「涙は大切な君の友達だから」
辛い時は我慢しないで泣こうぜと、アコースティックバラードで包み込むようにシメます
(その後の東日本大震災時の長渕のラジオ番組でも流された)

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