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林さんの本

Mさんへ
林さんの小説の感想を書いたので読んでみてください。

読んでる途中からビールが飲みたくなるます。
これ一冊読めば、ビールの材料、製法、種類、歴史から地域の特性まで丁寧に書いてあるので、ビールに詳しくない人でもビールに興味が湧く内容になっていました。
渋谷のBarに訳アリの女性の絵里子さんが来店して物語が始まりますが、マスターの「美味しい」についての講釈が長く最初の一杯が絵里子さんの前に出されるまで十数ページかかり、なかなかビールが出てこないから、読んでるこちらも喉が渇いてしまいました。
でも最初の一杯が私の好きなペールエールだったから、それも良しとしよう。
その後はラガー、IPA、ホワイトビール、スタウトと、絵里子さんは飲み進み、ちょっとペースが早いのではと心配になる展開でした。絵里子さんの飲みっぷりも心配でしたが、もっと心配なのは高志君の方です。
高志君は絵里子さんが出会った、ビールを作ることを目指す青年なんですが事業を2回も失敗している点はともかく、起業するには拙い事業計画や
甘い判断があり、それでビール事業ができるのか?と思いました。
懲りずに挑戦する高志君には、夢ばかり見てないで現実的になってほしいと、高志君の両親にちょっと感情移入しちゃっいました(両親の方に年が近いためか?)。ビジネスに長けてる絵里子さんが一緒になってくれてよかった。高志君だけだと、ビール事業も展望が開けなかっただろうと思います。

高志君は自分たちのビール作りに向け、ヨーロッパに美味しいビールを求めて現地を旅するのですが、ここから先はパブやビアカフェ、ビアホールを巡る仔細な描写が続き、高志君と一緒にジョッキを傾けている自分が脳裏に浮かびました。
さすがは林さん、お酒を提供しているところの描写が上手いです。このところ黙食や宅飲み、オンライン飲み会が多いですが、ここに出てくるようにビールは大勢でワイワイと飲んだ方がおいしいと思いました。

高志君はホップの名産地のハラタウ地方で消息不明になるんだけどその先は小説を読んでみてください。林さんらしいファンタジーになってます。
ヱビスの小説だけに、読み終わったらホップのような甘く苦い香りが物語から漂ってくるような気がします。

そうそう、読み終わってから思い当たる点が一つありました。
時々Barで飲んでいると、いつの間にか時間が経っているのは、飲み過ぎなんじゃなくて、ビールの神様が近くで飲んでいるからだってこと。
この小説を持って明日もビールの神様に会ってこようかな。

#ヱビスの小説読書感想文
#ヱビスホップテロワール

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