淡交社特別講習会「六国五味を知る」の追加開催を終えて…
昨日(4日)、掲題の講習会を無事に開催できました。
前回の「六国五味を知る」では、何となく「お茶人のみが講習会に参加される」と想像していたため、用意した香木は全て沈水香木でした。
ところが、いざふたを開けてみると香道経験者もおられることが判り、単なる一般論にとどまらず、より具体的な内容に触れることが好ましいと感じました。
そこで今回は、急遽、次のようなメニューに変更しました。
**********************************
淡交社特別講習会追加開催
「六国五味を知る」資料(炷き出す香木のメモ)
一. 羅国(仮銘 春吹風、ベトナム産)
二. 真那賀(仮銘 山ざくら、タイ産)
三. 真南蛮(無銘、タイ産)
四. 佐曾羅
㈠ 沈香、無銘 、インドネシア産
㈡ 白檀、仮銘 夢の枕、インド産
㈢ 赤栴檀、仮銘 あから橘、不明
五. 寸門陀羅
㈠ 沈香、仮銘 袖のこほり、インドネシア産
㈡ 黄熟香、仮銘 子の節、インドネシア産
六. 伽羅(仮銘 こり咲く梅、緑油、ベトナム産)
七. 真那賀(霊元院勅銘 『雲間』)
(佐曾羅及び寸門陀羅は、時間の都合によりいずれかを選択して炷き出すことになると想定されますので、ご承知おき下さいませ)
日時 令和三年四月四日午前十時半、午後一時
場所 麻布香雅堂守拙庵
**********************************
(注:御家流香道における「新伽羅」という木所に関しては、『香木三昧』に記載した私見について触れるに留めさせていただきました)
相変わらず話し始めるとどんどん長引いてしまい、また活発なご質問を頂戴したこともあり、案の定、用意した香木を全て炷き出すことは叶いませんでした。
佐曾羅は皆さまのリクエストで「赤栴檀」を、寸門陀羅は「黄熟香」を炷き出しました。
リピーターも複数おられ、前回と同様に、とても楽しいひと時を過ごさせて戴きました。
今回も嬉しいお便りを頂戴しましたので、一部を抜粋して紹介させていただきます。講座を開催する趣旨を汲んで下さっており、本当に有り難く存じる次第です。
++++++++++++++++++++++++++++++++++
前回に続けて今回も参加させて頂き、本当にありがとうございました。
六国五味に関する丁寧な説明をして頂いたので、さらに理解を深めることが出来ました。
これまで伽羅は甘いと認識していたので、甘い沈香と混同してしまうことがありました。
今回、「沈香と伽羅とでは甘さが違う」という説明を伺った上で
異なった甘さを持つ沈香(真那賀、真南蛮)を聞き、その後に伽羅を聞いて
「伽羅の持ち味は苦み」という意味が、やっと感覚としてつかめた気がします。
赤栴檀、黄熟香といった珍しいお香木も聞かせて頂き、ありがとうございました。
どちらも個性のある香りでした。
(中略)
電気香炉を使い、適温でたいて下さるので、席の位置に関わらず、
一定した温度で聞ける安心感があります。
また作法を気にする必要もなく、香木の香りだけに集中できる利点があるので、こうした会に電気香炉の使用は最適だと思いました。
とはいえ、勅銘香には通常の香炉を使う配慮もして頂き、ありがとうございます。
とても良い火味でたいて頂き、雲間の良さを感じることが出来ました。
雲間は樹脂の沈着が浅くて、ほのかな香りとのことでしたが、
雲の隙間から差してくる陽光のような優しさを感じる香りでした。
香道の本には載っていないような貴重なお話もたくさん聞けて、とても勉強になりました。
長年、香木に専門家として携わってきた方ならではのお話でした。
ベトナムとカンボジアでは、植生は大して変わらないように思いますが
伽羅がベトナムでしか発見されないというのは不思議ですね。
お香木に対する興味をますます深めることの出来た贅沢で貴重な時間でした。
(後略)
++++++++++++++++++++++++++++++++++
『雲間』は、火末に至るまで伽羅の「甘」は出さず仕舞いでした。
『波間』とは全くタイプが異なるのですが、やはり「沈香の真那賀」であると感じた次第です。
聞香に過ごすひと時は、本当に貴重で楽しいと心から感じます。
そんな時間を多くの同好の士と共有できることは楽しさを何倍にも増してくれて、醍醐味を味あわせてくれます。
2回に亘る特別講習会を経て、電気香炉を活用することで聞香会の開催が容易になることが確認できましたので、これからも香雅堂守拙庵における聞香会を出来る限り増やせるよう努力したいと願っています。
歴史的な名香を愉しむ機会も、ぜひ設けてみたいと考えております。
ご都合のよろしい折にはぜひご参加くださいます様、お奨め申し上げます。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?