淡交社特別講習会「香と茶の湯」開催のご案内

『香木三昧』を執筆中の段階から、淡交社の滝井真智子編集局長との間で講習会のことが話題に出ていました。
昔から茶・華(花)・香は三姉妹と言われ、とりわけ茶道と香道とは仲良し兄弟と例えられるほど近しい関係とされていながら、現代ではお互いの交流が取り立てて緊密に行なわれることは無く、茶席で香を扱うことが多い茶人でも、香に関する専門知識をお持ちとは限らないのが一般的だからです。
(村田珠光が活躍した頃、交流のあった志野流香道第二世家元志野宗温の門下には武野紹鴎が居ましたし、「宗易袋棚」は志野中棚の、「紹鴎袋棚」は志野下棚の変形とされるなど、香道と茶道とは共通する文化人たちによって形作られて来たと考えられるのですが…)

これまでも淡交会青年部の皆さまからご依頼を戴いて練香づくり講習会を実施させて戴いたり、学校茶道指導者の研修会にお招き戴いて講座を担当させていただいたりして参りましたが、このほどの出版を機に、改めて最新版の香の知識を可能な限り抜本的に学んでいただく機会を設けたいと願うようになり、編集局長も「楽しそうで、有意義!」と賛同下さっていたのです。

そして、同社文化事業部と相談の上、掲題のような特別講習会の企画が実現する運びとなりました。見づらいかも知れませんが、チラシのスクリーンショットを掲載します。

香と茶の湯フライヤー 練香

一回目の講座では「練香を知る」と題し、茶席の香の源流を辿り、天然の麝香をはじめ薫物(たきもの=練香)の重要な原材料の実物を回覧しつつ解説すると共に、平安時代・室町時代の資料を基に、当時の宮人たちが試行錯誤の末にまとめ上げた調合のノウハウ(「方」=ほう)を参考にしつつ実際に手づくりして戴きます。
再現を試みる薫物は、仁明天皇が「男に伝えてはならない」とされた「承和の秘方」による「黒方」を予定しています。
(材料の品質や調合量の問題から当時のままの香気を再現することは不可能ですが、当時のレシピを参照し、出来る限り近いものを目指します)

香と茶の湯フライヤー 六国五味

そして二回目の講座は「六国五味を知る」と題して香木の不思議に迫ると共に、六国(木所)の概念を、実際に聞香しつつ理解して戴きます。
殊に、霊元院の勅銘香『波間』は昔ながらの本物の「沈の真那賀」であり、伽羅には無いタイ産沈香に特有の「甘」を味わうことが出来る必見(聞?)の貴重な名香です。

霊元院様御香『波間』(真那賀)

なお、会場を香雅堂二階のテーブル席(木製の床・丸椅子)とし、楽な姿勢で上質な香木の香気を堪能していただけます様心掛けますが、講習会当日の情況によっては新型コロナウイルス感染予防対策の一環として窓を開放して常時換気しますので、身体の冷えを心配される参加者様におかれましては、各自でスリッパやクッションをご持参賜わります様、何卒よろしくお願い申し上げます。

詳細は淡交社文化事業部にお問い合わせ下さいます様お願い申し上げます。

https://www.tankosha.co.jp/

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?