おすすめ勉強法その1 入門書を読みまくろう!

こんばんは、山田麻里子です。今日は、受験生時代にしていた勉強法のうち、短期合格に役立ち、かつ、多くの人に活用してもらえるものを紹介しようと思います。

今回紹介するのは、薄くてすぐに読み終えられる入門書をできるだけ短時間でたくさん読む、という方法です。

1 この方法をとったわけ

択一に2回落ちた後、いろいろ考えて、心機一転、初学者として、一からやり直す!そう決意しました。このとき、聞いてなかった入門講座を聞きなおそうか、悩みました。が、聞いていてつまらなくて、放り投げてしまったものを、いくら気持ちを新たにしたからといって、やり通せるのか??不安になりました。どうしたら、勉強してくれますかね?私、と。

自分のことはよく知っているつもりです。怠け症で、めんどくさがりで、できないこと・負けることを自覚するのが嫌いで、そのうえ今は持病があるという言い訳までゲットしている、いわば言い訳太郎状態です。やる訳ないやろ。

それでも、まだあきらめられません。こんなど厄介な人間でも、面倒くさがらずできる、簡単で、しかも持病があってもこれくらいは、ということをするしかない、のです。なんて無理ゲ―・・・。

そこで、なぜ自分が入門講座を聞き切ることができなかったのかを分析してみました。

1 量が多い。

2 聞くだけだから、退屈。

3 難しいし、退屈

4 拘束時間が長い。

・・・。ということは、量が少なくて、自分が能動的に行っていると思うことができて、簡単で、拘束時間が短い(もしくは自由に変えることができる)、やり方ならいいんだな、わし!!

こうなってくると、入門講座を聞く、というのは無理な相談です。1~4まで全部そろっている。

そこで、とったのが、薄くてすぐに読み終えられる入門書をできるだけ短時間でたくさん読む、という方法でした。薄い=量が少ない・読む=自分が読まなきゃ終わらない・入門書=比較的簡単、挫折しにくい・できるだけ短時間で=拘束時間が短い。

ええい、これなら文句ないやろ!勉強せえ、私!

2 この方法の効用

さて、そもそも勉強してくれない自分を動かさないといけなかった私。とりあえず薄くてすぐに読み終えられる入門書をできるだけ短時間でたくさん読む、という方法をとりましたが、思わぬ効果が得られました。以下の3つです。

1 頭の中にその法律の全体像が入った

2 たくさん読んだので、繰り返し出てくる内容は自然と頭に入った

3 一通り目は通しているんだぞ、という自信が持てた

一つずつ説明していきます。

1 頭の中にその法律の全体像が入った

法律を勉強する際に厄介なのが、「まだ勉強していない事柄についても知っていないと、事案が最後まで処理できない」という問題です。

例えば、詐欺取消しについて勉強したとしましょう。96条1項で、相手方の詐欺によってした意思表示は取り消すことができる。ここまでは問題ありません。では、取り消された意思表示はどうなるのか。これは、無効と取消し、というところで扱う問題で、取り消されるまでは一応有効だけれど、取消しがされれば、意思表示の時点まで遡って無効となります。そして、当該意思表示に基づいて何等かの給付が行われていた場合、それを元通りに、原状回復しないといけません。これは、無効と取消しでも勉強しますが、メインで扱うのは不当利得、というだいぶ後で勉強するところです。これで96条3項もついでに勉強した日にはもう・・・対抗関係(物権で学ぶ)まで出てきます。

このように、事案を最終的に解決するには、あらかたざっくりでもいいから、民法なら民法の全体像、薄い知識を備えてなくてはいけないのです。これが厄介なんだなぁ・・・。

そこで、薄い入門書が効果を発揮するのです。200頁くらいであれば、根性出して2時間くらいで読みました。一日5冊(このときばかりは無理して一日6時間くらいやりましたよー)同じ科目ばかり読む。そうすると、3冊めくらいから、「ああ、不当利得ね」「うんうん、それ、後で出てくるよね」と全体像を把握した状態で本を読めるのです。後で出てくる話もすでに学習済み。うすーい知識ではありますが、頭に入った状態で本を読み進め、基礎事項を理解していくことができました。

2 たくさん読んだので、繰り返し出てくる内容は自然と頭に入った

上にも書きましたが、一日最大5回、同じ話を読むのです。5回目ともなれば、「はいはい、遡及効でしょ」「あー、また賃借権の物権化きたよ」と、文章の内容がすっと頭に入ってきます。こうなりゃこっちのもの。深く勉強していくときにも最低限わかってないといけないことはもう手の中に。怖くなんてありません。

3 一通り目は通しているんだぞ、という自信が持てた

受験生あるあるだと勝手に思っているのですが、「あ、刑事訴訟法の裁判、まったくやってない」「民事訴訟法の複雑訴訟、ちっとも見れてない」など、とくに下4法について、まったく自信が持てない分野が複数発生する、という問題があるはずです。

それでも、この方法をとっていれば、入門書に書いてある程度のことは頭に入っている、一度は目を通したことがある、という状態には持っていけます。

ほかの受験生が「やってない・・・」と真っ青になっているのを横目に、「うん、最低限は知っているよ」と焦らず冷静に対応することができるようになります。

3 短期合格への強い味方に

 この方法をとったことで、過去問を解くにせよ、論点について理解を深めるにせよ、スピードがぐんと早くなりました。何を読むにも最低限知っていなければならない知識はすでに頭の中にある状態だからです。

 実際、平成22年は1点差まで詰めましたし、予備試験・司法試験はいずれも好成績で一発合格をすることができました。また、今後お話していきますが、「マネするな危険」と言われる勉強法をとっていたにも関わらず合格できたのは、この最初の入門書読みまくりをしていたからだと思っています。

4 実際のやり方

私自身は、一科目5~8冊(予備校の入門書・学者の書いた入門書もどちらも使いました)を最大2日で読むようにしていました。

一番初めは一番薄い・予備校の本を。だんだん太くなっていき、最後は学者の書いた入門書を読むようにしていました。挫折しないように。

皆さんが実際にやってみるときには、最低3冊(予備校系2冊・学者系1冊)は3日以内に読んでほしいと思います。

私が実際にやってみたとき、手ごたえが出てきたのが3冊めでした。できれば手ごたえをつかんだままもう1冊、といいたいところです。が、いろいろな受験生を見てきて、3日で4冊は限界超えている、という人もいたので、最低3冊にしました。

学者系の入門書を入れているのは、基本書を読み始めやすくするため、という仕掛けです。硬い、論理的な文章を読みなれる、というのが私には必要だったので入れています。必要ない、という人は、予備校入門書を回すだけでもいいんじゃないかな、と思います。勉強法は一人ひとり違うので・・・

5 お勧めの予備校入門書

1 3時間でわかる○○法入門 (Wの法律入門シリーズ)

早稲田セミナーさんから出ている、今のところ一番薄い入門書。3時間といわず、30分で終わるくらい薄い。しかも、薄いのにきちんといろいろ書いてある。「法律書なんか、通読できないよ」と自信を無くしている方にお勧めの一冊。残念なことに改定版が出ておらず、内容がやや古すぎるので、ザーッと読んで、自信がついたら次に行くことをお勧めします。

2 伊藤真の入門シリーズ

いわずと知れた伊藤塾塾長、伊藤真の入門シリーズ。ほどよい厚さ、合間合間に入るチェックテストでの息抜き、文字の大きさなど、初学者が心折れないように作られている。これまた一時間半くらいでざーっと読むのがお勧め。きちんと改定してくれているので、使いやすい。

3 伊藤真ファーストトラックシリーズ

具体例を使って優しく進めていけるのがこのシリーズ。一時間半くらいかなあ。2で紹介した入門シリーズが抽象的だ、と感じる人にお勧め。もちろん、2と3両方読んでもよい。私の受験生時代にはなかったので、ちとうらやましい。

4 S式 柴田の生講義シリーズ

LECの柴田先生の講義をそのまま書き起こしたスタイル。やや分厚いが、その分、情報量も多く、「しっかり読みたい」という人にお勧めの本。読み切るのに3時間~5時間かかるので、これを読む前に薄い予備校の入門書を読んでおくことを強くお勧めする。


6 学者系入門書の見つけ方

一応、私のおすすめ及び使っていた学者系入門書は、明日以降に少しずつ書いていこうと思います。量が多いのと、中身を確認したいので・・・。

ですが、学者系の入門書、ぶっちゃけ、合う合わないが人によって違うんですよ。私が、「うーぬ、苦手やなぁ」と思っていた本が、友人の合格者には大ヒットしてたりだとか。もちろん、逆のパターンもあります。

ですので、一応、おすすめはありますが、一度手に取ってちらっと中身を読んでいただいて、それから、実際に購入して読むかどうか決めていただいた方がいいんじゃなかろうか、と思います。

7 まとめ

というわけで、薄くてすぐに読み終えられる入門書をできるだけ短時間でたくさん読む、という方法については以上となります。

短期間で、集中して、一つの科目の薄い入門書を、3冊以上読むことで、かなり後の勉強が楽になってくるはずです。この方法をとらなければ、私は予備試験に受からず、もう今頃合格をあきらめていたと思います。

ですので、ぜひ、みなさんにもやってみてもらいたいと思います。苦手な科目だけでも、やってみてもらえれば、「なんか違うな、ちょっと楽かな」と思ってもらえると思います。

それでは、また明日!よろしくお願いします。





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