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山田古形の小説

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山田古形が書いた小説の一覧です。楽しいヘンテコ話がたくさんあります。
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2021年8月の記事一覧

【小説】あなたの声で牛を被る

「かなえ先輩、アメリカバイソンの鳴き真似してもらっていいですか」  イーゼルの向こうでユキちゃんが言った。  私は両手を体の前で重ねたポーズを保ちながら、ふうと息を吐いた。ユキちゃんの鳴き真似リクエストは今朝からすでに八回目だ。それもホルスタインとかテキサスロングホーンとか牛ばかり。いくら私が今、ジャージー牛を模した被り物を頭に被っているからって、何度もモォーやブォーと言わせないでほしい。 「お願いします」  ユキちゃんが重ねて言った。被り物越しの耳にもはっきりと、透明な雫み