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「動物に学ぶ恋愛術」的な記事の危険性

もう数ヶ月前のこと。noteにてある記事を見かけた。

そのタイトルこそ、『動物に学ぶ恋愛術』的なやつだ。「あなたへのオススメ記事」として紹介されていた。

しかし、中途半端ながら生物について知っている身からすると、ちょっとヤバいと感じた。

著者に悪気はないのは百も承知で書くが、恋愛術を動物から学ぶと、あらぬ性犯罪や性暴力を許してしまうことにつながるのだ。

今回は、生物から恋愛を学ぶ際は注意を要するという内容を書いていく。

ヤドカリから恋愛を学ぶとまずい

まず、ヤドカリだ。幼稚園児でも知っているような有名生物だ。

そして、こいつの恋愛、というか交尾がヤバい。

メスのもつ貝殻をオスが引きずって持ち歩く。これがヤドカリだ。ちなみに、引きずられている間、メスはろくに食事もできない。

なお、これをされたメスには成長速度や産める卵の数に悪影響が与えられる。

詳しくは以下の動画に詳しい。

人間界にも束縛が激しい彼氏や夫はいるが、家の抵当権や食事の権利まで奪う男はそうそういない(だろう)。

そもそも、このヤドカリのオスメスは、別に彼氏彼女ではない。オスが勝手にメスの家に上がり込んで勝手に子作りしようとしているのだ。江戸時代の殿様でももうちょっとマシだろう。

というわけで、むやみやたらと、恋愛術を生物から学ばない方が良い。

『生き物から学ぶ』は結局『人間から学ぶ』でしかない

なぜヤドカリはダメでオウムはいいのか

上記のような説明をすると、以下のような反論が来る。

「いや、それはヤドカリだからでしょ。素敵な恋愛をする動物だっているでしょう。」

この時点で、『生き物から学ぶ』から少し脱線している。

例えばオウムの恋愛が素敵なものだとして、なぜヤドカリがダメでオウムがいいと思うのだろうか。

ヤドカリの交尾前行動がダメで、オウムの求愛行動がいいと決める、その基準はというと、人間の理性とか道徳心とか、そういうものではないか。

アニマルライツの話ではないが、ヤドカリ、少なくともオスのヤドカリからすれば別に問題ではないかもしれない。人間の基準でモラハラと判断されているに過ぎない。

人間以外の種の求愛から『学ぶ』と主張している人は、結局自分たちの価値判断から脱出出来ていないでいる。

『動物から学ぶ恋愛術』とは結局、『人間から学ぶ恋愛術』に過ぎない。動物の多種多様な恋愛や交尾の行動を、人間の価値判断で区別し、その中で素敵だと判断されたものだけが『動物から学ぶ恋愛術』で言及される。なんと身勝手なのだろう。

この記事では茶化しているが、『動物恋愛学』的な本は人間的な本だし、実際に動物から色々見倣おうとするとあなたの人生が終わってしまうかもしれない。
『動物恋愛学』的な本やnoteは、冗談半分のフィクションとして読むくらいがちょうどいいのだろう。



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