国は一刻も早いコロナ特措法の改正を!

東京都議会議員(三鷹市・都民ファーストの会 東京都議団)の山田ひろしです。

都内の新型コロナの陽性者数は累計で1万人を越え、7月23日の陽性者数は1日あたり過去最多となる366人となりました。

現在の新型コロナ対策の基本方針は「感染拡大防止」と「社会・経済活動」の両立です。そのため、現在、都議会においても、国の施策をベースに、都独自の支援(家賃補助の上乗せ・コロナ患者を受け入れた都内約130の医療機関に対する支援金など)を行うための補正予算を審議中です。

しかし、感染者数が指数関数的に増加していく点が、新型コロナの恐ろしい点の一つ。専門家の見解を踏まえた都の最新の感染状況・医療提供体制の分析は7月21日(火)に行われ、感染状況の分析は4段階のうちで最も悪い「感染が拡大している」に、医療提供体制の分析は4段階のうちで上から2番目に悪い「体制強化が必要」との結果となりました。

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その翌日、4連休の前日である22日(水)に小池知事から、現在の感染状況を踏まえ、検査・病床確保・宿泊療養施設の強化に関する対応状況と、区市町村との連携について、下記のような説明がされています。

病床や宿泊療養施設の確保については、病院・ホテルなど相手方があることであり都が単独で可能なものではありません。コロナ対策のために空けて欲しいと都が依頼した場合、その分、病院・ホテルの通常の業務や経営にも様々な影響が生じます。「なぜもっと確保しておかないんだ」というご意見をいただくことも多く、ごもっともな側面もあるのですが、民間のご協力があってはじめて対応できているという現状もご理解いただけるとありがたいと感じています。ご協力いただいている病院・ホテルなど関係者の皆様にあらためて感謝申し上げます。

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小池知事からはあわせて、この4連休が感染拡大を助長することがないように、あらためて都民の皆様へ様々なお願いをさせていただいています。できるだけ外出は控えていただきたいこと、感染拡大防止策の徹底こそが経済活動促進の要と捉え、感染拡大予防ガイドラインの遵守を示すステッカーが貼られたお店の利用が推奨されています。

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先ほどお伝えしたとおり、現在の新型コロナ対策の基本方針は「感染拡大防止」と「社会・経済活動」の両立です。そのためには、4月の緊急事態宣言時のような都内全域に対する休業要請等ではなく、感染拡大がみられるエリアや業種に対し、集中的に対処することが重要です。

この方針の実効性を確保するためには、一定の場合における、罰則など強制力を伴う措置も必要となってきます。例えば、保健所による濃厚接触者や行動歴(行ったお店など)の調査に関し、協力的でない方も一定数存在しているとのことです。また、感染防止策を取らないで営業しているお店に対し、強制力を持った形で休業要請等を行う必要も出てきます。その際には、休業に対する金銭的な補償のあり方についても議論・検討が必要となるでしょう。

このような罰則などの強制力を伴う措置に関し、新型コロナ対策の法的根拠である特措法には特に定めがありません。つまり、東京都はじめ自治体は、状況の変化に即した迅速な対応を行う必要があるのですが、現在の法制度上、基本的には全て「お願い」ベースでしか対応ができないという状況です。

この点については、「春先はパチンコ店の店名を公表したではないか」「他の法律を活用すればよい」などのご意見があると思います。

しかし、まず、特措法45条に基づく店舗名の公表は、政府による緊急事態宣言があった場合に限られており、政府による宣言がされていない現在はできません

また、感染症法や風営法等の活用ですが、そもそもコロナ対策を念頭に置いた法規制ではありません。法本来の目的から逸脱するような形でコロナ対策に流用した場合、特に罰則など不利益を課される事業者の権利保障の観点から問題があり、私は丁寧な検討が必要と考えます。

自治体が自主立法である条例をつくれば良いのではという意見もあります。まず、条例は憲法上「法律の範囲内」でしか制定することができません。これは機械的に判断されるのではなく、法律と条例の趣旨・目的・内容・効果などを比較しながら、一定程度、柔軟に判断されるものです。

しかし、特措法等において国が罰則を付していない規制事項に関し、都が独自で罰則などの強制力を付すような場合、不利益を被る事業者との裁判になった場合に、「特措法は、自治体が独自に罰則などの強制力を付すことを許容している趣旨である」という点を、証拠に基づき主張・立証できないと憲法違反とされ敗訴するおそれがあり、慎重な検討・判断が必要です。

このように、東京都をはじめとする自治体が、罰則などの強制力・実効性を伴うコロナ対策を、法的な疑義なく安心して行うためには、国による特措法の迅速な改正が必要不可欠です。

しかし政府は、特措法の改正は感染状況が落ち着いたところで議論するとのことであり、非常に残念ながら責任ある態度とは言えません。

私個人の見解ですが、東京都として更に踏み込んだ措置としては、(1)対象範囲を丁寧に検討した上での都独自の緊急事態宣言、(2)感染予防ガイドラインに従わない事業者に対する休業要請、(3)揺り戻しの動きもみられる都内企業のテレワークの再徹底とルールづくりの加速などが考えられます。しかし、いずれも現在の法規制では罰則などの強制力を伴うものにすることは難しく、結局、「お願い」ベースとならざるを得ません。本来は、感染が落ち着きを見せていた時期に、次の感染拡大を見据えて法改正を行うべきであったと思います。

繰り返しですが、国には一刻も早い特措法の改正が求められており、なぜ今、国において検討・議論すら行われていないのか、非常に理解に苦しみます。国の所管事項は国会議員でないと影響力を行使するのが難しいのが現実なのですが、都議会からも当然、特措法の改正に向けて声を上げていきます。

長文をお読みいただきありがとうございました。次回はまた別のテーマについて書きたいと思います。

東京都議会議員 山田ひろし

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