U8と僕
先日、僕が指導するU8の蹴り納めが行われました。1年前より成長した子ども達の姿を見たらなんだか少しだけ泣きそうになりました。それがしっかり彼らと向き合ってきた自分への答え合わせなんだと思います。1年を終える前に、今年を振り返ってみます。
子ども達との出逢いはちょうど1年前に遡ります。うちのクラスの子の妹がサッカーをやっていて、そのチームが指導者を探しているんだけど先生来てくれませんか?と三者面談でお母さんが声をかけてくれたのが始まりです。ちなみにこの女の子が、ちょっとだけ僕の人生を変えてくれたあの動画の子です。
当時、僕はほとんど活動しない剣道部の顧問だったので、自分がサッカーの指導をできる場所を喉から手が出るほど探していました。そこに飛び込んできた話だったので、運命を感じましたね。ただ、希望は戦術的な話ができるジュニアユース以上のチームだったので迷いはありました。
いざトレーニングの見学に行くと、まぁちやほやしてくれるわけですよ。子どもって平穏な生活に起こるイレギュラーってなんだか嬉しいじゃないですか?教育実習生が人気者になるあれと一緒。で、ちやほやされるからこちらも気分が良くなる。教育実習生が実習終わって先生目指すようになるのと一緒。
そんな状況で「コーチ次も来る?」なんて言われてしまったら僕は「来るよ!」以外の回答を知りません。こうして僕は彼らのコーチになったのです。
次のトレーニングあたりからメインでコーチをすることになりました。これまで指導してきたカテゴリーはU13〜15だったので、このカテゴリーには何をするべきかまったくわからない日々が続きます。僕が彼らと同じ年代の時に通ってきたことは、一通りやってみました。まぁおもしろくない。どんなことをしたら彼らのためになるのか?このカテゴリーで身につけなければいけないことは何か?考えれば考えるほどわからなくなり、考え抜いたものほど伝わらず、だんだん仕事終わりにトレーニングに行くのが億劫になっていきました。
そんな時にふと、自分はどんな指導者に出逢っていたら、今「サッカーやってました」と胸を張って言えるのか?そんなことを考えました。すると、僕はサッカーの原理原則をほとんど教わって来なかったことに気づいたんです。(人として生きていく上で大切なことはたっくさん教わりました。本当に感謝しています。)リフティングやドリブルはたくさんやれと言われてやってきたけれど、どういう立ち位置を取れば相手は広がるのか、ラインを上げるのはなぜか、優位性をいかにして作るのか、そんなことは誰も教えてはくれませんでした。その代わり、僕の課題はいつも走り込みの不足や足元の技術の不足に帰属されていたのです。だから、部活が終わってから毎日2時間、走って、リフティングして、、その結果、 サッカーは上手くならなかった。
大学に入って市船や習志野、八千代出身の友達ができましたが、初めは彼らと対等に話すことはできませんでした。僕は、サッカーをやる上で最低限持っていなければいけない知識すら、持ち合わせていなかったようです。そんなことから、僕は8歳であってもきちんとサッカーを伝える必要があると考えるようになりました。この子達が世界中どこに行っても原理原則という共通言語のもとサッカーを楽しめるように。そして、僕は「大人のサッカー」なんて言葉はないと思っていて、大人がやるサッカーも子どもがやるサッカーも原理原則は普遍なんじゃないかと思っています。そんな結論に至ってからは、少しずつやるべきことが見えてきて前向きにトレーニングに参加できるようになりました。
トレーニングは、ジュニアユースやユースと同じようなものをU8レベルにアレンジして行いました。U8であっても毎回きちんとテーマを設定しトレーニングに臨みました。もちろん他のカテゴリー以上にドリルの時間は多いですが、認知判断に負荷をかけるようなトレーニングにもこだわってやりました。当然理解には時間がかかりますし、1度学んだことを次のトレーニングでは忘れていることは日常茶飯事。8歳の子ども達にサッカーを伝えることはとても骨の折れる作業です。
8歳の子ども達にサッカーを伝える上では、いかに彼らに最適化した言語で伝えるかを大切にしています。そのものは変えずに言葉を変える、イメージを変えるということ。大人の僕らにはシンプルなお約束も彼らにとっては「難しいこと」なのです。ではどうすれば8歳のあの子達にとって「簡単なこと」にすることができるか、それは8歳の子どもが持ってる経験と照らし合わせてあげることなのだと考えました。「もっと広がれ」「幅取れ」と伝えるよりも、サッカーと関係ない彼らの既知の情報とサッカーを結びつける方がよほど理解がスムーズに進むことがあると気づいたのです。そんなことから、部屋を贅沢に使う話やだるまさんが転んだの話は生まれました。このカテゴリーを見なかったらきっと、伝えるという作業にここまでこだわらなかったであろうと思うと指導者として一度は通っておくべきカテゴリーかなと思っています。
うちのチームは幸せなことにU8でも毎週ゲームが組まれています。またこのカテゴリーでは珍しく、中西部や県外のチームともたくさんゲームをしていただきました。僕の指導方針なるものがあるとするなら、それは全員がゲームに出る中で 上手くなっていくことでしょうか。ゲームとトレーニングでは得られる経験値がまったく違うと思いますし、誰が出ても同じサッカーができることが僕の目標でもあります。簡単なゲームモデルもどきも作りました。
実際に県大会がかかった大会でも全員が出場して県への切符を獲得することができたので自信にはなりました。僕は正直このカテゴリーで勝つことはあんまりこだわってないですが、ゲームの内容と共に結果も伴ってきているのは嬉しいことです。0-8で負けたチームに半年後には1-2のゲームができたことは彼らにとっても自信になっていると思いますし、勝つことは子ども達にとっては間違いなく嬉しいことなのです。子どもは勝つことを目指せば良い。来年は、今年フロンターレ内定3人の県外チームに0-13で負けたのでリベンジの機会があればなぁと思っています笑
みなさんTRMの連絡お待ちしております。
さて、大そうなことを並べているけれどえっせいさん、君のやっていることは果たして成果があったんかい?
まぁ、あれやな。目に見えて上手くなったなぁと感じるのはお父さんコーチが熱心にやってくれたドリルの部分やな。正直、他の部分に関してはまだ他と大差ないで。
ほな、君のやってることって意味ないやん。
まぁ成果が見えにくければ意味ないと取られてしまうかもしれんな。
君に子どもを預ける保護者は「少し手を加えただけで手軽に美味しくいただける」そんなもんを君に期待してると違うん?
コーンフレークやないかい。
牛乳かけただけで忙しい朝でもすぐに美味しくいただける、それはもうコーンフレークや。育成ってそんな簡単なもんと違うからね。
一部の保護者は「時間かかってでも、この子が少しずつ上手くなっていってサッカーを楽しんでくれたらいい」とも言ってたで?
ほな、コーンフレークと違うかぁ。
コーンフレークは食べるまでに待つ必要がないもんね。食べるまでに時間がかかっても、「待ってる時間も楽しい」食べ物ではない、じゃあコーンフレークやないなぁ。
でもおかんが言うには「牛乳かけたら急に美味しくなる」らしいねん。
コーンフレークやないかい。
どんな牛乳かけても美味しくいただける素材になってもらいたい。これからどのカテゴリーで誰の手を加えても、自分達で考えて戦っていけるような選手にしてあげたい。それはもうコーンフレークや。
でもおかんが言うには「誰に感謝して良いかわからない」らしいねん。
コーンフレークやないかい。
特定の生産者さんの顔が出てこない方がいいのよ、色んな人が関わって美味しくなってったら。だいたいみんな俺が育てたって言いたがるんやから。
でもおとんが言うにはそれ、コーンフレークじゃなくてU8って言うらしいで。
そんなんわかるか!一年経っても難しいわ!
でもおもしろかったで!
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