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もしも自分になりたい人がいてくれたなら

突然だけど、誰か僕になりたい人っています?

僕になったら、湧き出るように出て来る言葉と心地良いリズムの文才、頭の回転の速さとちょっとしたユーモア、イケメンではないけれど笑顔が似合う、キレ者ではないけれど生きるには不便ない教養、そして少しの先生としての素養、子どもには抜群にモテる何か。

誰か僕になりない人っています?

いゃいゃ誰が言うてんねんとは思いつつも、ステップアップのための踏み台として僕ぐらいは通っておきたいという人はいないですか?

いつも愛してくれてありがとうございます。

芸能人ならよほど可愛くもない限り、「お高く止まってんじゃねぇよ」と炎上しそうな書き出しも、僕が読んでくださった方にとって何者かであれば広い心で受け止めてもらえそうなものじゃないかと淡い期待で書き出しました。ちょっとやり過ぎたなとは思ってるんですよ。

誰にも嫌われたくない、炎上なんてゴメンな僕にしてはだいぶ攻めたんですけど、奇を衒(てら)ってまでして伝えたいことがあったので書いてみました。

あけましておめでとうございます。今年も、5分だけお時間をいただくことはできませんか?


自分が嫌いって言うもんだから

14歳って難しいじゃないですか?

色んな世界を見たことないのに、進路は決めろって言われるし。

「部活も勉強も手を抜くな!」って言うもんだから塾にも行かないといけないし。

たまの息抜きに見るのは良いところしか流れてこない誰かの自己顕示のSNSばかりだし。

14年しか生きてないから悩み事の処方箋も少ないからすぐに落ち込むし。

彼らが生きる社会は学校という本当に狭い箱の中にあって、自分の立ち位置をまだ他人との比較でしか考えられない難しい年頃にあって、彼らにとってはテストの順位や部活の上手さ、少々の容姿の良さだけが全てで、それが満たされている子ほど自信があって、それが満たされていない子ほど言う「自分が嫌いです」って。

14歳って難しいじゃないですか?

「自分らしく生きたい」と思っても、持ってる物の少なさゆえに、心の底からそう生きる強さを持ちづらい年齢だと思うんですね。

今年度は僕自身3回目の2年担任なんですが、僕に初任の頃より何倍も力が付いてもなお難しく感じる学年です。

みんな「自分が嫌い」って言うんですもの。

そういえば、僕もめちゃくちゃコンプレックスを抱えて生きてきた人生でした。それもほんの数年前まで。蹴っても蹴っても上手くならないサッカーに、物事を考えるにはあまりにスペックの低い頭、モテないことをここに言い訳させるには十分な容姿と、人一倍飲み込むのに時間のかかる要領の悪さと…嫌いでいるには十分過ぎる荷物を背負っていました。

だから「自分が嫌い」と鼻っから拗ねてる方が、自分より優れた人に出逢って挫折するよりもよほど傷が浅いからそう思ってしまう気持ちわからなくないんです。期待が大きいと裏切られた時のショックって大きいじゃないですか?ならはじめから期待しない方がいい、あれと一緒です。

でも「自分が嫌い」ってやっぱりおもしろくはない。鏡に映る嫌いなやつを見て、今日を楽しく生きられるわけがない。自己肯定感みたいな言葉で言い表されるあれです。現代人それちょっとみんな低過ぎない?って話です。

学級目標のワケ

話変わって学級目標はいつも僕が決めます。それぞれこんなクラスになって欲しい、こんな人に育って欲しいっていう親が子どもに名前を付けるような感覚でその年のはじめに僕が決めます。学級目標は指導の落とし所となるから自分達で決めた方が良いぞ!と言われ続けてきた中で頑固に貫き続けるこだわりの少ない僕が唯一こだわるポリシーです。


例えば…

『confianza』
1年目。自分が小6の時に担任がつけた学級目標で、「自分への自信」や「他者への信頼」の意味を持つスペイン語でヴェルディの監督をしていたアルディレスが使っていた言葉なんだって紹介された記憶が…先生になったら絶対につけてやろうと思ってた。
『ONE4ALL』
3年目。1年4組をもじって。それぞれの頑張りがみんなのためになるクラスになるようにと。ロゴがYouTube風なのは当時YouTuberが流行り出した時期だったのと、YouTubeのキャッチコピーの「broadcast yourself 」が自分を出せない子ども達にはピッタリだと思ったから。

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『be original』
5年目。中学2年生の難しい時期に、自分はどんなことが得意で、どんな考えを持っているのか、何をしているのが楽しくて、何が好きなのか見つける1年にして欲しくてつけた。他とは少し違う集団で、他とは少し違う自分であることに自信を持てるように。副題は「オリジナリティ全開で」ロゴはクラスカラーの赤をシンプルに。

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そして6年目の今年

『This is me』
6年目。多くの子どもが自分に自信がなく、自分のことが嫌いだと言うもんだから。人とは違う、でもそんな自分を誇りに思って生きて欲しいという願いから。副題は「自分楽しんでる?」ロゴは世界中色んな人がいるけれど、みんな自分に自信持って生きていけると人生楽しくないか?ってところから色んな人を用意した。

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もしも自分になりたい人がいてくれたなら

今年度も終盤に差し掛かっている。今年はスタートが遅かった関係で子ども達と過ごすことのできる時間が例年以上に短かった。だからこそ1人1人と関わる時間をとにかく増やそうと毎日全員と話をして、日記のやり取りをして、いじりいじられ笑い合った。

そして日々伝えてきた「俺は自分のことめっちゃ好きだけど、みんなはどう?…」

初めは「先生は自分好き過ぎるんですよ!めっちゃ溢れちゃってますよw普通無理ですってw」と言われ、「自分が嫌い」が並んだアンケートも季節の移り変わりと共に少しずつ「好きかも」になり「好き」へと色を変えた。

こんなに嬉しいことはない。彼らが自分のことを好きでいてくれることより嬉しいことなんてない。そう思った。

「自分が嫌い」

大人になって間もなくして、柄にもなく友人に弱音を吐いた時、彼が僕に掛けた言葉は東京でたくさん遊んでいた彼の口説きのテクニックかもわからないけれど一生僕の中に残る言葉なんだろうなと思った。

「俺がお前だったら、自分のことめっちゃ好きだけどね」

これがどれだけ自信になったことか。

ありがとう。

あれから数年経って、僕はいつも「俺は自分のことめっちゃ好きだけど、みんなはどう?…」の後には必ず彼から貰った言葉を付け加えている。

「俺がお前だったら、自分のことめっちゃ好きだけどね」

もしも自分になりたい人がいてくれたならそれ、生きる理由になりやしないか?
























新成人のみなさん、おめでとうございます。大人って思ってる以上に楽しかったです。

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