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ご近所の騒音問題でノイローゼになりかけた話 その4

私はそれから、一睡もする事ができず会社に出勤した。

会社に行ってからは仕事など頭に入ってこず、苛立ちだけが募っていった。
深夜の騒音、バンド練習だけに飽き足らず、外で女子と絡み合うだなんて、私には考えもつかない所業だった。
私は山田の事をちょっと面白がっていた自分の甘さを後悔した。

山田はこの2ヶ月間ほど、自分のせいで苦しんでいる人がいることも知らずに、のらりくらりと己の青春を全うしている。
…許せない…。許せない…。許せない!!!

私は山田を許さないことにした。

居ても立っても居られず会社の外に出て、管理会社に電話した。
電話に出たのは、前回の女性ではなく男性だった。

まずい…何と伝えよう…。女性のスタッフの方はいますか?と言って女性に代わってもらったところで、伝えづらいことを伝えるのは同じ事だし…。
そう考えながらも何か喋らないといけないので、こう切り出した。

「あのぉ〜、先日一階の山田さんの騒音について相談させていただいたばっかりなんですが…あのー、ちょっと昨晩また問題が発生しましてぇ…」

「えぇ!どうされましたか?!」

どうしよう…、ことによったら逆セクハラになる案件ではないのか…でも、言わないわけにはいかないし…
と思い、私は思い切ってこう言った。

「あのぉー、昨晩遅くに下の山田さんが、
外で女性の方と…ちちくり合ってましたっ!!」

そういうと、管理会社の男性は
「ブフッ!えぇ、どういうことですか?」と笑いながら質問してきた。
相手が笑ってくれたことで、しめた!と思い、私は昨晩から今朝までにあった事を喋り始めた。

「いやね、昨晩4時頃に山田さんと女友達が玄関前で喋り出したんですよ。それからキスし始めまして。まぁ、大体10分くらい?」

「えぇ?外でですか?10分も…」

「はい、それからね女友達が私の胸は左右大きさが違うんだと言い出してまして、触ってみろって言うんですよ」

「ほぉ…」

「それで山田さんも、ほんとだ、全然違う!なんて言ってね。それで触ってるんですよ」

「うんうん」

「そしたら急に女友達が、ぎゃー!上から触るなぁ!下から触ってよー!とか言い出して、山田さんは下から触ってたんですね」

「うわー、ひどいですね」

「それから女友達が、蚊に刺されるから部屋に入るって言い出しまして、ドアを開けてうわー、明るいとか言って入っていったんですよ。山田さんは、不完全燃焼だわって言ってたんですけどね」
と、全ての出来事を伝えた。

すると管理会社の男性は
「マジですか、考えられないですね。今すぐに山田さんに電話して注意します!」
と言ってくれた。

管理会社からの一度目の警告を華麗に無視した山田の事なので、どうなるか心配だったが管理会社の男性がその後電話をくれ、
「山田さん、反省されてました。楽器も今後一切弾かないと言っていましたので、様子をみていただけますか?」とのことだった。

それからも山田は、ベースの自主練をしたり、深夜に友達がきて騒ぐような事が複数回あったが、その後しばらくして引っ越していき、私は騒音問題から解放されたのだった。

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