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「離人神経症」患者の言葉

以前は音楽を聞いたり絵を見たりするのが大好きだったのに、いまはそういうものが美しいことがまるでわからない。

音楽を音楽として感じ取ることができない。

音は聞き取れても、統合された作品としての時間構造を理解することができないのだ。

また、

絵についても部分と全体との関係を見失っている。

ようするに、

作品とは、享受する者の頭の中で組み立てられたものであるということがわかる。

創作者の頭の中にも、統合された一つの作品が存在する。

そうした「像」が、受け取るほうの頭の中に結ばれていて当然だと思ってしまうのだが、そうではないことがわかる。

離人症の恐ろしさがここにはあるとともに、こうした症例は、作品というものがどういうものかをおしえてくれる機会をつくってくれるのである。

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