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回想ー2023大雪山(後編)

2023年シーズンの大雪山も本当に楽しかった。今シーズンの振り返りやたくさんの動物たちとの出会いのエピソードなどの回想の後編です。


大雪山に登ることができるのは6月中旬から10月初旬。今シーズンは、白雲避難小屋が7~8月に一時閉鎖されたこともあるが、5回登り、計8泊大雪山で過ごした。今シーズン最後の大雪山は10月9日。下山後、帯広空港に向かう運転中に今シーズンを振り返る。

小さなエゾナキウサギ

幌加駅跡の駐車場でしばし休憩。街からかなり離れているのにトイレはいつもきれいだ。トイレといえば白雲避難小屋のトイレもいつもきれいだ。
管理人さんに感謝。


2022シーズンまでの3年間は、それまでナキウサギに会えていた場所で会えなかった。新型コロナもあり、登る回数が少なかったとはいえ、鳴き声が時折遠くで聞こえるくらいで、出待ちしても会えなかった。

それが今シーズンは以前ほどとはいわないまでも姿を見せてくれた。
身体が小さいため、別の場所で生まれ、住み着いたのかもしれない。
とにかくよかった。

秋色が目立ちはじめた斜面で刈り取った食料を咥えたまま岩に登ってきたナキウサギ

戻ってきたエゾシマリス

旧国鉄士幌線の橋梁跡の標識だ。
道路沿いの駐車場には多くの車が止まっている。


大雪山で一番会えるエゾシマリス。今シーズンも何度も会えた。
山頂では、一瞬だが間近に来てくれた。

ただ、ナキウサギと同様にここ数年はほとんど会えなかった。登山道にひょっこり現れ、疲れを癒やしてくれる彼らに会えないことが心配だった。
エゾシマリスの感染症が広がっているという噂も聞いたが定かではない。
ただ、今シーズンはほっとできた。

柔らかな西日に染まる頂上の岩の小さな森に駆けてきたエゾシマリス

2頭のエゾシカ

大きなカーブを左に曲がるとぬかびら温泉郷。
2月に来たときはトンネルの手前の森にエゾシカの群れがいた。一瞬目をやるが、さすがにいない。あのときは四肢が完全に埋まるほどの雪の斜面を跳ねるように登っていた。


登山口を少し登った開けた斜面で食事中の牝鹿のグループを何度か見かけたが、今シーズンは子鹿には会えなかった。

ここ3年、白雲避難小屋の近くで毎年会っている2頭のエゾシカがいる。
1頭の牡鹿は、おそらく先天的に一方の角が生えないという特徴があることやそもそも頂上付近でエゾシカに会うことが珍しいので同じ個体だと思っている。

前の年より明らかに大きく、くすんだ毛並みに変わり、威厳を感じる風貌になっていた。

頂上直下の斜面で食事中の2頭の牡鹿

ホシガラスの家族

上士幌の市街地に入り、久しぶりの信号で停車する。まもなく町営の浴場に着く。入浴料は相変わらずの300円。50円のボディーソープだけを買い足し、3日振りの風呂に入る。最高に気持ちいい。


6月中旬、雪渓から染み出た水溜で数羽のホシカラスが水浴びしていた。
これまで集団で活動しているところを見たことがなかったため足を止めて様子を伺う。

数羽は少し小柄なので巣立ちを迎えた家族なのかもしれない。一斉に飛び立ち新葉が出そろったウラジロナナカマドの枝に身を隠す。

芽吹いたばかりのウラジロナナカマドの枝で羽を休める

山頂のエゾオコジョ

入浴後、車に戻り帰り支度をする。
80Lのスーツケースに山道具などの荷物を詰め込み、後部座席を元に戻す。


白雲岳の頂上で下りの準備をしているときに視線を感じて振り向くとエゾオコジョと目が合う。前回会ったのは4年前。大雪山に7年通って2度目だ。

エゾオコジョも私に興味津々のようす。一定の距離を保ちつつ、私を観察しにきては岩陰に隠れ、また別の岩陰から出てきては目が合う。
ナキウサギやエゾシマリスを襲うというが、間近で見ると作り物のように毛並みがきれいでかわいらしい。

山頂から下る準備をしているときに視線を感じて振り向くと目が合う

2024年シーズンに向けて

レンタカーをいつでも返せる準備ができて一安心。
ほどよく眠気がくる。アラームをセットして運転席で20分仮眠する。

少しだけすっきりした頭で駐車場を出て、次の楽しみの食堂に向かう。
今シーズンの大雪山も楽しかったなー


大雪山で撮影した写真を整理したときに花の種類を数えたら80種類を超えていた。見たことがない花は次のシーズンのモチベーションにして日程を計画した成果だ。

多くの動物たちの仔育て時期である6月に何度も登っているが、ナキウサギやエゾシマリス、エゾノユキウサギ、エゾオコジョの仔にはまだ会えていない。

同じ種類の花や動物でも会うたびに新たな表情を見せてくれる。同じシーンは二度とない。大雪山に登るたびに思いも寄らない感動に出会える。次はどんなシーンに会えるかな。2024年シーズンも楽しみだ。


帯広市にある洋食屋さんに到着。
開店する17時まで後10分。すでに2組のお客さんが並んでいる。
開店を待つ間に18時くらいにクマスプレーとガスカートリッジを預けに行くことを友人に連絡する。

■編集後記

毎回思い通りに登ることができるわけではない。荒天に阻まれることもあるがその後に天使が舞い降りることもあるので危険を感じなければ登っている。

登山の予定は、シーズン終了後にある程度決めている。飛行機は、航空会社のタイムセールを狙う。安いときは羽田ー十勝帯広が往復2万円をきる。

登山の1週間前から天気が気になるが、少々の雨なら決行する。ここ2年間は、運良くすべて予定通りに登ることができた。
待ち遠しかった山開きは来月(6月)。今シーズンも楽しみだ。


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