【ペルソナ】誰かの語り?

あの日から13年が経った
いまだに言われる避難生活という言葉
私って避難生活をしているのか?

私は今、自分の意思でここにいる
避難生活と言われると、私はここで生活をして生きていると言いたくなる
でもあの6年間は確実に避難生活だった
選択肢すら奪われて、第三者が勝手に自分の中に介入してくるような感覚

でも実際に私はあの頃自分の意思でそこに居たのかと言われると、別にそうでもなくて
なんとなく生まれた場所だったっていうだけだった
だからここにいる理由はなかったかもしれないけど
ここにいられなくなる理由はなかったの

もしかしたら人によってはこの震災が
神の救いの手のように、導きのように感じられた人もいたかもしれない
ここにいられなくなるようにしてくれた、救いのように
でもあれは確実に第三者による私への介入で、
あれからの6年間は自分でこの地に立っている感覚がなかった
それに富岡町出身だということが、人には言えなくなった
あの時、あの場所に居た記憶を自分の中にしまい込んだ、
そうするしかなかった

富岡町の帰還困難区域が最初に解除されてから7年
避難生活は終わったと言えるのかな
でもね、町の風景も人の痕跡もなにもかもが変わってしまったあの風景をみてあの場所に帰還すると言えるのか?
帰還するという選択肢を与えられて選択できるようになったとでも言うのか?

私はまだ分からない
自分の生活が避難生活と言われたいのか言われたくないのか
それにときどき現れる被害者づらする自分を見るのももう嫌だ
だから私はもう忘れたい
そういう自分をみたくないから蓋をして、忘れたい

それにね、私があそこに居たことは私だけが分かっていればいいの
誰かに知ってほしいなんて思わない
ましてや追体験してほしいなんて思わない
むしろ利用されているような気がして、追体験したなんて言われたくない

ただ1つ思うのは、私はあの町とさようならをしていない
突然離れ離れになって、別々に町と私は変化していった
あの頃の町の記憶のまま私の中で保存されていて、私だけが取り残されているような気がする
だからもう一度出会いたい、出会ってさようならを言いたい
私だけの中にある富岡町に。

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