山を発掘する 02

10年以上前、私は栃木県日光市の足尾町にいた。
言わずと知れた、足尾銅山鉱毒事件の発端の町である。
トイレも風呂もなく、壁の隙間から外が見えるレジデンスプログラムの滞在場所からは、立ち入り禁止になっている元製錬所の建屋が見える。

足尾銅山は銅の採掘のために19世紀から稼働していた。
途方もない量の土を、長年に渡り山から掘り出したため、蟻の巣状になった土地では、地震計にも現れない局地的な崩落の地震が時折起こる。

崩落により穴が埋まるということは、どこかが凹んだのだろう。
私たちの手元にそのときに採掘された銅は巡ってきているのだろうか?
と、金属が巡る世界をイメージしながら、末端にある、銅親水公園のうどん小屋で半熟卵を作る技を習得した。

2011年東日本大震災の影響で源五郎沢堆積場は崩れた。
その際に鉛の検出量が上がった。まだ、なにも解決していない。
一度汚染された土地はそうやすやすとは戻らないのだ。

山口





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