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アソビゴコロタリテル?

卒業式も、歓送迎会も、花見も、大型連休も、昨年のように全国一律で「中止」や「自粛」でないにせよ、やはり、ここ松本でも引き続き「控えめ」にはせざるを得ないであろう、この春。「ニュー・ノーマル」「ウィズ・コロナ」という言葉に覆われて、「仕方ないよ」とあきらめて、知らぬ間にうつむいたまま、ふさぎ込んでいませんか。でも、季節は、春。ひとの世がどれだけ右往左往しようとも、季節は淡々と進み、巡り、いま、再びの春を迎えています。長い、寒い、信州の冬を乗り越えて、ようやくたどり着いた光の季節。僕らはいま、本来であれば、多少の不安は交えつつも(その不安に対してすら胸の高鳴りを覚え)、このあたらしい「はじまりのとき」に期待を膨らませ、希望に満ちています。この季節特有の、あの高揚感は、いったいどこに仕舞い込まれてしまったのでしょう。

昨年の春、〈栞日〉では、松本出身のダンサー、アオイヤマダさんがモデルの写真集『PLAY AT HOME』の写真展を開催していました。全編松本ロケの作品集で、地元の、特にモデルの彼女と同世代のみなさんが、多くご来場くださり、その世界を楽しんでくださった企画展でした。ところが、その会期中にコロナ禍は全国に広まり、当初、展示のフィナーレに予定していた、アオイヤマダさんのパフォーマンスも、泣く泣く断念。写真集の制作チーム〈PLAY〉のメンバーと僕らは、いつかきっとリベンジしよう、と誓いました。

この春、そのチャンスが、思わぬ方角から舞い込みました。〈松本PARCO〉さんの胸を借りて実現した、この「アソビゴコロタリテル?」キャンペーンです。このメッセージは、〈PLAY〉チームのコンセプト「アソビゴコロ」から拝借しました。僕らにとっては1年越しのリベンジマッチ。舞台のひとつは、〈松本PARCO〉さんからのリクエストで、〈栞日〉が昨年の秋に継承した、街場の銭湯〈菊の湯〉です。〈PARCO〉と、その語源の「公園」と同じく、あらゆる人に対して開かれた場である銭湯は、でも、そこを訪れ、そこに集う人たちに「心の余白」すなわち「アソビゴコロ」がない状態では、満喫することができません。ファッションも、喫茶も、銭湯も、この時代、もはや「不要不急」の代物なのかもしれません。でも、そこに僕らの「アソビゴコロ」さえあれば、これらは僕らの暮らしに欠かせない「彩り」を添えるピースになります。

粛々と時を刻み続けることが、自然の力強さだとしたら、僕ら人間の最大の武器は、想像力と創造力。このふたつさえ手放さなければ、僕らはどんな状況下でも、「アソビゴコロ」の翼を広げて、飛び越えていける。そう信じています。季節は、春。希望の季節です。顔を上げて、まじないを唱えてみてください。「アソビゴコロタリテル?」

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