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ふつうの日記 2021.08.31『エージェント本棚に来る』

・匂い

 自分の部屋からいい匂いがした。身に覚えのないいい匂いだ。驚いてキョロキョロしてみると、何故か本棚のほうから匂いが来ている。
 本棚を見てみる。数年前に憧れて買った香水が置いてあった。まさかビンから漏れているのか?慌てて確認したが漏れていない。フタを空けて嗅いでみる。違う、この匂いではない。本棚からはいい匂いがし続けている。本棚を見る。主に本。小説と漫画。香水の区画には絆創膏とマニキュアとハッカ油。ハッカの匂いではない。マニキュアはくさい。下の方の段にちょっとおやつ。たまごボーロ。たまごボーロの匂いでもない。もっとお花のような……あるいは木の実のような……そんな匂いが……。
 たまごボーロを食べながら匂いを嗅ぐ。知らない間にお洒落なお姉さんが来て、私の本棚を物色して去っていったのだろうか。だとしたら、『侵略!イカ娘』が15巻まで揃っているのを見られたのはちょっと恥ずかしいな。いや、『イカ娘』は名作なんだけど。しかしお姉さんは一体何の目的で私の本棚を見にきたんだろう。私が持っている本の間に、機密情報が詰まったUSBが挟まっているのだろうか。なぜ私の本棚に……。
 謎は尽きない。夕食を済ませてから部屋に戻ってみたら、もうあの匂いは消えていた。ミステリアスな女エージェントの残り香。今度は本棚の前にトラップを仕掛けておこうかな。


・じゃがりこ:その3

 食べ損ねました。明日こそ……明日こそは……。


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