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自分らしく行こう!みんな違ってみんないい!

「自分のセクシャリティに気づいたのは中学生になる前の春休みだった」と、語り出したポールさん(以下、ポール)

彼と出会って15年くらいの付き合いになるのですが、出会ってすぐ意気投合し、今ではバカな話しや冗談が言える親友のひとりです。

今回はゲイとして生きるポールに、『多様性』について、ストーリーを聞かせてもらいました。

好きな人に気持ちを伝えられない切ない初恋

『性の対象が男性』ということがきっかけで、中学生になる前の春休みに自分がゲイだと気付いたけれど、周りにそういう人がいなかったこともあり、『自分は病気なのかな?』と思い悩んだ当時。

思春期ということもあり、はかない初恋を経験した10代は、苦しく、悔しさの残る思い出となりました。

「病気って、言い過ぎなんだけど、周りに言えなかった苦しさがあったよね。女の子を好きになると思っていたけど、性の対象が男なんだよね。でも、中学時代は色んな学校から生徒が集まって友だちもたくさんできたから楽しくて、そこまで自分の意識が回ってなかったから、そこまで辛くはなかったかな。

高校生になって、初めて好きな男の子ができて、その子に本当のことを言えなかったのは、苦しくて、悔しかったなぁ。思いを伝えてしまったら友情関係が壊れるってわかってたからね。その子と一緒に、『お前はどんな子が好きなの』って話しになった時に、ノンケ(異性が好き)ぶってさ…。」

好きな人に自分の気持ちを隠して嘘を付いて話しを合わせる辛さって、どれほどのものだったのでしょうか。

高校を卒業し、地元を離れ東京の大学に進学したことで自分を知っている人はいない自由を手に入れることができたことで苦しさがなくなり、初めて友だちにカミングアウト。

少しずつ本当の自分をさらけ出せるようになった20代からストーリーが少しずつ動いていきます。

異性からの黄色い声

ーー初めて会った女の子から『カッコいいのにゲイで残念。もったいない』って言われてるのを見てるけど、それに関してはどう思ってるの?

「あ〜(笑)それね!もちろん言われた時は嬉しいよ。ルックスを褒められてるからね。でも、それはあなた達の基準のもったいないでしょ。私は細身だから太りたいの。

ゲイの世界っていうのは顔とかスタイルが良くても、モテ筋っていうのがあって。クマ系で、昔スポーツやってました体型のぽっちゃりで、筋肉の上に脂肪が乗ってて、オスっぽい。極力オネェ言葉を言わない人。」

ここまで聞いて私は、ポールはクマ系の人がタイプだったということを思い出すのである。

カミングアウトをする意味とは

ーー自分のセクシャリティを話すって、センシティブな話しだと思うんだけどどう思ってるの?

「30歳を過ぎてから、自分のセクシャリティを言うことに疑問を抱いてきてさ。別にみんな、私のセクシャリティをわざわざ聞きたいのかな?って。

私はゲイっていう日常で生きてるわけで、女友だちが下ネタで盛り上がってるのを見るとあんたらの性生活なんてどうでもいいわ!って思うのと一緒(笑)」

ーー(笑)聞かれてもいないことを自分からいちいち言わなくても、ってことでしょ?

「そうそう。でも人に恵まれて、カミングアウトをしても良い反応をしてくれる人が多かったから、これが自己表現って思って、ゲイって言えば場が盛り上がるって思ってたんだよね。

でも、ある時、良くない反応されて席を立って帰っちゃった人がいたの。それ以降は、ちょっと気を付けようかなって…。」

ゲイでいることが悪いわけではないのにそんな反応をする人がいるだなんて…。私はポールからカミングアウトをされた時に、驚きもせず『そうなんだね』くらいにしか思わなかったので、帰ってしまう人がいただなんてびっくりしてしまいました。

カミングアウトをして、気持ちは楽になるけれど…

ーー近い人、たとえば親族になればなるほど言いにくいことってあると思うんだけれど、親にカミングアウトをした時はどうだったの?

「29歳頃に親と過ごす時間が多くあって、その時に『本当の自分を知ってもらいたい』っていう欲求が出て、どういうふうに伝えればいいのか悩んで認めてもらいたいって思って、伝える前に泣いちゃったんだよね…。

お母さんは、『もしかしたらそうなんじゃないかって思ってたよ。』って言ってくれたけど、お父さんは気付いてなかった。本当のことを言えたことで、いったんは気が楽になるんだけど、カミングアウトしても親子関係は変わらなかった。

自分としては、もっと腹を割って話せるような、今まで以上に近い関係になるって期待していたんだけれど…。何にでも言えることだけど、お互いが興味を持ってこの人のことを知りたいって思う心がなければ、近づくことはできないんだよね。

けっきょくは自分はゲイで独身だから『家族』っていうものに気付けないけど、心のよりどころみたいなものは見つけたいと思ってるかな。」

カナダに住んで感じた、海外と日本の大きな違いとは

ーーカナダと日本の違いってどんな感じなの?

「欧米とアジアって、LGBTQの価値観が違うんだよね。欧米でもタイプはあるけれど、ゲイに生まれたからこうじゃなくちゃいけないっていうものがなくて、こういう偏見がないところでパートナーを見つけて幸せになれたら人生最高かもしれない!

だって、男性同士で手を繋いだり、女性同士でベビーカーを押したりして、ドラマのような世界が本当にあるんだって、日本じゃあり得ないよ。」

ーーわぁ!なんか素敵だね!

「でも、おもしろいのがアジア。アジアだとタイプが固まりやすくて、ひと昔前だったらふくよかな人がモテたの。自分の私生活において石を投げればゲイに当たるみたいな環境じゃないでしょ。

まだまだ隠れてるものだから、みんなから支持されるモテ像とか、メディアが作り出すモテ系のマッチョとかにみんながロールモデルとしてそこを目指していっちゃうのかなって。

欧米だとゲイがいて当たり前で、身体は男性だけど心は女性で性の対象は男っていう人たちがいる社会だから、ロールモデルは身近にいる人って感じなんだよね。」

カナダと同じように日本でも、同性婚が認められたとして、日本人の意識は変わるのでしょうか…。

世界の性と生の多様性・レインボープライド

私とポール

「性と生の多様性」を祝福する東京レインボープライドで、ポールがスタッフをするというので友人たちと会いにいって来ました。

1969年アメリカ・ニューヨークのゲイバー「ストーンウォール・イン」で起こった「ストーンウォールの反乱」。ここからゲイ解放運動が一気に広がり、翌年にはデモ行進が行われ、現在のプライドパレードとなりました。

ポールが以前住んでいたカナダ・モントリオール。カナダは世界的に見てもLGBTQフレンドリーな国で同性婚も認められています。そんなカナダでは、首相がプライドパレードに参加し、それと同時にLGBTQの人たちがいて当たり前だと思うと、まさに『多様性』で自分らしくいられるんだろうなぁと思いました。

カナダのジャスティン・トルドー首相

編集後記

LGBTQという話題に触れてみました。私としては、偏見のない世の中になってほしい、少しでも多くの方に知ってもらいたいと思い、今回、ポールにインタビューを協力してもらいました。

人を好きになることに何も違いはない、個人個人が個性や多様性をもっと尊重できる世の中になっていけばみんなが生きやすくなるんじゃないかなぁと、思いました。



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