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お母さん=いい身分なのだ。

SNSの普及で、10年前とはずいぶんと風通しが良くなったものの、
電車や飲食店など、小さい子どもと一緒に居るお母さんの肩身が狭いこの世の中、どうにかならんもんか。

私も娘が小さいころ、平日の昼下がり。
家からそこそこ近い(都会ではない)カフェに一緒に行った。
店内はテーブル同士ゆったりと距離もあるお店。
娘は店内を走り回るでもなく、大声で叫ぶでもなく、
ただ机の周りでクルクルと歩く程度の娘に対し、
お店の方から
「他のお客様がいるしうちは大人のためのお店なので、おかえり願いたい」と言われたことがある。
そのお店はカジュアルな雰囲気だしお酒もないし「お子様お断り」の表示もなく、レジで先に買うスタイルなのだけど何も言わらなくて、なら先に言ってくれ~!
ちょっと、怒りよりもビックリ!衝撃的だった。
小さい子は、動く。泣く事もあれば、大きな声で楽しいおしゃべりもする。
子どもの行為をなんでもカンでもOKにするべきという話ではなく、
社会的な場所での、ある程度の周りへの配慮はあって然るべきと思うけれど、ただ、私のテーブルの周りで歩いているだけなのに、迷惑な存在なんだと言われてしまったら、育児ってあまりにも孤独だと思った。
(私は多分、このお姉さんの事を一生ほのかに恨み続けると思う。)

また別の時、仕事の打ち上げが伸びて終電を逃した。
早朝5時。
最寄り駅に下りた。子どもを産んでから初めての朝帰り、だ。

終電に乗るために酔った体に鞭を打ち走って走った。
敢無く終電に間に合わず、不安でみぞおちが苦しくなった。
せめて、家までは帰れないけど行けるところまで電車で戻り、
そこで漫画喫茶に泊まった。
あぁ、出産してからずっと憧れてた漫画喫茶にこんな形で来ることになるとはなぁ~…もっとワクワクしながら来たかった…
どうせ、朝7時くらいまでみんな寝てるに決まってるのに、
(心配かけてないかな。1分でも早く帰らなきゃ。)と、
罪悪感と、朝帰りしちゃたという別に悪い事してない背徳感
朝日の静かな美しさがまじりあった駅の駐車場でのこと。

その駐車場は当時、有人式だったので
駐車場のおばちゃんに支払うシステムだった。
すでに顔見知りで家族構成もしっているおばちゃん。特に仲良くはない。

「おや、今日は2人の子はどうしたんだい?」と聞いてきた。
当時はまだ旦那さんが居たので「主人と一緒に寝てます~」と答えたら、
「いいご身分で!」と言われた。

ハツ!早朝にもかかわらず、体中の血が下の方からザワッと熱くなった。

嫌味をぶつけられた衝撃にうろたえる自分と、妙に冷静な自分が居た。
(確かに。そうだよな。私って、いい身分のはずなんだよな・・・)
あのカフェの件をはじめ、親になった私は孤独感と責任感で
いつの間にか自分のサイズを、小さく小さくしていたようだ。
さっきまで「ヤバいぞ!」「そんなダメな事して!」「一人で深夜に漫画喫茶!?お母さんなのに!?」と、心で私をザワザワさせてくる罪悪感が、
急にファーっと消えた。

咄嗟に「はい^^私が産んだので!その分彼に見てもらってます~♪」と、応えていた。
そうだ。私が命をかけて産んだんだぞ!
だから、旦那さんも、命をかけて今夜くらい側に居てしかるべきなのだ。
母親は「いい身分」に決まっているのだ!
おばちゃんへの台詞は、私というよりも「魂」が音を出した感覚があった。

ありがとうおばちゃん!嫌味に感じたのは私の罪悪感のせいだ!
本当の事を教えてくれたんだね!わたしは自分の身分を取り戻した!!

咄嗟に出た言葉は自分を守ってくれた感じがして
断乳してしょぼくれかけた胸が、誇らしさで1カップほど舞戻ってきた。
…おばちゃんの時代では、乳児のいるお母さんの朝帰りとか、
どんな感じだったんだろう。
あの様子じゃ、許されない事だったんだろうなぁ。

朝日がまだ差し込む前の白い朝、湖と山の影の中、
(あの子たちを産んだのは私なんだ!)と、大声で叫びたかった。
心で繰り返し、誇らしい気持ちで帰宅したのを覚えている。

それから色々ありつつ、時間も経った。
そういう誇らしさを、ずっと忘れないように持っている。

Twitterをひらくと、電車の中で冷たい扱いを受けてるお母さんが居る。
マンションの住民から「泣き声がうるさい」と投函される。
飲食店で泣く子に眉をひそめる老人がいる。

おい、お前らも、もともと赤ちゃんやったんやぞ!!

冷たい心で対応する人の心理がどうして生まれるのかの法則は理解できるけれど、お母さんに冷たくするのは外道である。

お母さんは、いい身分なのだ。
命をかけて、可愛くて温かい”未来”を産んだんだから。
あとは全部周りの人に任せてもいいくらい、いい身分のはずなのだ。

という事で、
お母さんは、いい身分の人なのだから、それなりの行動して欲しい

自分の時間を丹念に味わい、
好きな時に子どもと戯れてはしゃぎ、
オシャレしてメイクして自分の事をキレイにしたり、
気が向いた時に誰かの役に立ったりしていると
本当に美しいお母さんになるよ。

そうしたら、旦那さんもお子さんも、心から誇らしい気持ちになる。

冷たい奴らのことは、蔑んでよう?
自分の中の厳しさとも会話しよう。
「ちょっとw厳しすぎwww」と、笑い飛ばして。
消そうとしなければ、いつかきれいさっぱり居なくなる。

まずは、自分の事を「よくやってるなスゴイ」とねぎらい、
ゆっくり眠れるように、ちょっとだけわがままになって欲しい。

子どもと一緒にわがままになって、旦那さんを困らせちゃえばいいと思う。
そうしたら、旦那さんはもっとがんばれるようになるから。

「罪悪感」という曇りが晴れた時、
やっとお母さんは、家族の本当に太陽になれると思っている。
いい身分のお母さんは、太陽なのだ。

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