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アフターコロナの月の輪まつり

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安来市の伝統的なお祭り、「月の輪まつり」。 その伝統が新型コロナ感染症の流行をを切っ掛けに失われつつある様です。 それについて、個人的に調べたり市の職員とメールでやり取りしたこと…
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月の輪祭り〜アフターコロナ その1

安来市には月の輪神事という政(まつりごと)があります。 日本の祭りネットワークにも記載されている歴史のある催し事なのです。 天武3年(674年)に、語臣猪麻呂(かたりのおみいまろ)の娘が海岸でワニ(鮫)に襲われ亡くなったことが記されています。 その娘の霊を慰めるため、毎年8月14日から4日間、踊り続けたといわれ、その慰霊祭が月の輪神事の起原とされています。 1300年続く神事です。 安来市では、その月の輪神事に合わせ、月の輪まつりが開催されていました。 長い歴史のあるお祭りで

月の輪祭り〜アフターコロナ その2

前回、折口信夫(民俗学者:1887~1953)の「大嘗祭の本義」を参照して「まつり」を"奉る(祀る)"、"政(まつりごと)"、”祭り”の3つに分類し説明をして見ました。 神の声を聞き、伝える「奉り(祀り)」 それを実際に行う「政」 行われた政の結果を神に報告する「祭り」 しかし、月の輪神事の始まりは鎮魂祭です。 鎮魂祭と大嘗祭を同列に考えて良いのかと言った疑問をお持ちの方もおられるかも知れません。 「大嘗祭の本義」には、鎮魂祭も同様に行われていたとの記載も見ることができます

月の輪祭り〜アフターコロナ その3

”まつり”というものを、「奉り(祀り)」「政(まつりごと)」「祭り」の3つの要素から分析してきました。 1300年以上の歴史を持つ”月の輪まつり”にもこの3つの要素があることを、この前のふたつの記事、月の輪まつり〜アフターコロナその1,その2で考察してきました。 大切なのは、伝統的なまつりというものはこの3つの要素が必用だという事です。 そして、民俗学者の折口が述べている様に、「政(まつりごと)」が先にあるべきだと述べており、私はその考えが正しいと思っていますので、“月の輪

月の輪まつり〜アフターコロナ その4最終章

おはようございます。こんにちは。こんばんは。 今までの話を、簡単に紹介しておきます。 島根県安来市には、1300年の歴史を持つお祭り、「月の輪まつり」があったのです。 コロナ禍でそのお祭りは一旦中止となり、再開したのでは在りますが、以前のまつりとはかなり様相が異なるものとなっていたのです。 そこで、お祭りと云われるものの歴史を確認しつつ,なぜ月の輪まつりが現在の形になっているのかという疑問に答えを見いだすべく色々調べたりしておりました。 その中で、安来市とメールでやり取りをさ