立民・小西議員「日経に公開質問状を出そうと思う」 事実確認に疑問

 高市早苗大臣への追及が注目されている小西洋之参議院議員(立憲民主党)が、28日、Twitterに「時事通信や日経に公開質問状を出そうと思います」と投稿した。一般ユーザーのツイートを引用する形で投稿しているが、引用元のツイートの内容には疑問を抱く箇所があり、公開質問状を出す可能性に言及するに至るまでに、どのように事実確認を行なったのだろうか。

日経新聞に苦言

 小西議員は28日、野党支持者と思われるユーザーの「メディアがまるで他人事の体であろう事か高市氏にヨイショ(怒!!)『高市氏逃げ切り野党に手詰まり感』(時事)だの、日経に至っては『正確性確認できず、立民政策より優先審議空費』だの(怒)」というツイートを引用し、「時事通信や日経に公開質問状を出そうと思います。記者も新聞社・通信社も正々堂々と何を考えてそんな報道をしているのか国民に説明すべきです。」「かつて官僚時代には日経を毎日読んでいたのですが、見る影もなく本当に堕ちましたね。。」とツイートした。

 小西議員は同じユーザーのツイートを3回連続で引用した。

 小西議員が「公開質問状を出そうと思います」と投稿するに至ったのは、この一般ユーザーのツイートが関わっていることが想像できる。そして、同じツイートを2回引用しながら、日経新聞に対して重ねて苦言を呈している。

日経新聞に該当箇所見つからず

 一般ユーザーのツイート内容を確認したところ、投稿内容に不正確な部分が含まれる可能性が出てきた。

 まず、時事通信が「高市氏逃げ切り野党に手詰まり感」と書いたという記述について、調べたところ確かに時事通信の記事に似た記述が見つかった。27日の「放送法文書、高市氏逃げ切りか=野党に手詰まり感」との記事だ。

 しかし、日経新聞が「正確性確認できず、立民政策より優先審議空費」と書いたとする事については、同様の記述は確認できなかった。

 ただ、産経新聞の記事で似たような文言が存在する。27日の「立民、高市氏追い込めず敗色濃厚 文書の正確性確認できず、政策より優先し審議空費」という記事だ。

 一般ユーザーの投稿は、産経新聞と日経新聞を間違って認識していた可能性がある。

小西議員の「事実確認」は

 誤認識はTwitterではよくある事だ。そこで、情報を引用等する場合、情報ソースを確認するなどして内容の正確性を確認することが重要になる。議員のように影響力のある公人なら尚更だろうし、特に小西議員は、高市氏側に厳しく発言の正確性を追及してきた立場にある。高市氏は自身の進退も賭けて立ち向かっている状態だ。

 しかし、今回仮に一般ユーザーの投稿内容に誤りがあった場合、国会議員が不正確な情報に基づいて、情報の内容を確認しないまま特定の新聞社を名指しし、批判を展開した事になる。事実確認を怠るほどに安易に報道機関の報道に堂々と言及したのであれば、議員としての素質が疑問視されたり、信頼に関わるのではないか。手続きとして妥当なのか、所属する立憲民主党の見解も気になる。

 そもそも今回、小西議員ら野党は、安倍内閣が放送法の解釈変更に関わり、歪めたのではないかという疑惑を繰り広げて批判している。つまり野党は報道機関への圧力を強く批判してきた立場であるはずだ。しかし、引用元のツイートが誤っているかどうかを置いておいても、単に小西議員側にとって不利と感じられる記事に対して「何を考えてそんな報道をしているのか国民に説明すべき」と言って公開質問状の提出を示唆することは、報道機関に対する政治的な圧力であるようにも感じられる。もし安倍元首相が同様の行為に出た場合、野党側は極めて厳しく追及しただろう。

 そして、誤った内容に基づいて報道機関に圧力をかけたのであれば言語道断だろう。報道機関への影響について内閣に厳しく問い質している野党議員が、自らは報道機関に不当な圧力をかけるような事があれば、理解に苦しむ

 小西議員がTwitterに問題の文面を投稿するにあたり、どのような事実確認を行ったかという点や、一般ユーザーとの関わり、報道機関への圧力としての認識など、今後説明があるかが注目される。

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