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韓国紙、N501S変異株を「東京株」と記載 WHO方針に反し差別助長の可能性

 韓国の中央日報は31日、東京の病院で確認された新たな変異株を「東京株」と記述した記事を配信した。WHOの方針に反するとみられる。

WHOは地域名を付けない方針

 世界保健機関(WHO)はウイルスに地域名を付けのを避けるよう呼び掛けており、N501変異株のうち、イギリスで初めて確認されたことから「イギリス変異株」と呼ばれていた変異株が「アルファ株」に改名されるなどの経緯があった。感染症に地域名を名付けるのは差別を助長するおそれがある。また、変異株が確認された地域と発祥地は必ずしも一致しないという指摘もある。

 問題の記事は「デルタが変異した『東京株』登場…感染者の爆発で日本“非常事態”」との題名で配信された。国内でこのほかに「東京株」と呼称している記事は確認できず、中央日報が独自に名付けたものと思われる。

デルタ株とは

 デルタ株は、従来株と異なり「L452R」と呼ばれる変異が確認されている。ウイルスたんぱく質を構成するアミノ酸のうち、452番目のアミノ酸が従来のものと異なるものに置き換わっている。

 この変異によって感染力や毒性が強まっている可能性があり、現在日本で拡大中だ。

 ただしデルタ株は、アルファ株などいくつかの主要な変異株でみられる「N501Y」という変異は起こしていない。N501Y変異は感染力を強める可能性が指摘されている。

今回の新規変異株

 今回見つかった変異株は、L452R変異に加えて、N501Y変異に似た「N501S」と呼ばれる変異が確認されている。同様の変異を起こしたデルタ株は世界で8例しか確認されていないが、日本で初めて確認されたわけではない。ただし、国内で見つかったこの変異株は国内で誕生したとみられている。N501S変異が感染力に影響を与えるかどうかは分かっていない。

 国内ではこのほか、先月に「E484K」と呼ばれる変異を持つデルタ株も確認されている。同様の変異を起こしたデルタ株は世界で約120例が報告されているという。E484K変異は「ベータ株」などでみられる変異で、ワクチンの効果に影響を及ぼす可能性が指摘されている。

中央日報の不適切報道には「前科」も

 中央日報には不適切報道の「前科」がある。10年前の東北地方太平洋沖地震の際、映画『日本沈没』を連想させる「日本沈没」という見出しを付けて批判を受けた。

 このほか、日本への原子爆弾投下を「神の懲罰」だとしたコラムを掲載し、被爆者団体などから批判された事もある。

韓国国内でもN501S変異株

 韓国の聯合ニュースによると、韓国国内では6月にデルタ株に関連したN501S変異株が見つかっている。こちらを中央日報がどう呼称するかが注目される。



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