「東京都の広報費11億円」に批判殺到?本当に「無駄遣い」なのか

 芸人のカンニング竹山が、東京都の広報動画の制作費について誤った数字を言い、都から抗議を受けていた問題。これに関連し、東京都の昨年度の広報費が11億円を超えていた事も報じられた。

問題の経緯

 竹山が出演する番組に上田令子東京都議が持ってきた都の公文書に、去年の3月から9月の半年間の広告費が4.7億円、そして今年の3月くらいまでだと全部で11億円使っていると書かれていたという。これを踏まえ、TBS系の別の番組で、都知事がYouTuberとコラボした動画1本の制作費が4.7億円だと誤って発言し、番組内で訂正した。

 その後、都がTBSと竹山の所属事務所に注意文を送付。「事実に基づいた報道をするように」といった内容だったという。都は竹山に謝罪は求めなかったが、番組側は改めて謝罪し、この都の動きに「言論弾圧だ」などの批判があがった。

 ※竹山によると都は謝罪を要求していないため、古谷経衡氏のツイートには事実誤認がある。

 竹山氏の発言は自身でも認める誤りであったため、相応の責めを受けるのは仕方ない。また、誤りがそのまま独り歩きする危険性を考え、都が正しい報道を強く要求するのは当然の動きではないだろうか。

都の広報費支出に批判

 「広告費11億円」報道については、「無駄遣い」「自己宣伝」などといった批判が上がっている。

 しかし、新型コロナウイルスの感染を拡大させる主体は国民であり、緊急事態宣言でさえ国民の行動変容が期待されているような状況で、テレビではコロナ自粛の呼びかけがほとんどなされていないように感じられる。そこで行政によってステイホームや三密回避などの宣伝が行われるのは当然ではないか。そして、それらの宣伝が知事の政治的な宣伝だと捉えるかどうかも意見が分かれるはずだ。

 都のコロナ対策支出は2兆円を超え、宣伝費はそのうち0.05%にすぎない事になる。行動変容を要求する支出としてはむしろ過少ではないか?本当に無駄遣いと言えるのか大いに疑問だ。

余談:「怒りの声」

 上田都議は前出のAERAの記事で次のように語っている。

「大阪府の吉村洋文知事はこうした広告費は払えないからと、ローカル番組に出演して感染症への注意喚起を府民に呼びかけていました。番組に出演すればタダですから。一方、小池都知事はテレビ番組には出ないけど、ステイホームでみんなが家にいる時間を見計らってテレビやインターネットに広告を打つやり方だった。この費用を調査したら11億円にも上るという驚くべき金額でした。効果のほどはいかほどだったのか、疑問に思います」

 ここで持ち上げられていた大阪府知事だが、感染者の増加が著しい状況でテレビに出演しマスク会食を呼びかけた府知事に批判の声が上がり、それを取り上げた記事の見出しの一部「怒りの声」がTwitterでトレンドに上がった。

 お金をかけて宣伝しても批判され、タダで宣伝しても批判される知事たち。「広告に力を入れている場合か」という批判も分かるが、住民自身がウイルスを広める主体であることを自覚している人はどれだけいるだろうか。目の前のもの何でもサンドバッグに見立て、憂さ晴らしのために思考停止で叩いている人が多いと感じる。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?