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週刊文春がフランス人記者の言葉を引用し五輪批判を展開 しかし記者は「五輪叩きに私を利用した」と批判

 フランス人記者のフローラン・ダバディ氏が東京五輪の問題点を多く指摘しているという記事が週刊文春デジタルから公開され、Yahoo!ニュースにも転載された。

 この記事には様々な意見が寄せられているが、ダバディ氏に対して否定的なコメントも多い。

 しかし記事の公開と時をほぼ同じくして、ダバディ氏は日本を称賛するツイートをしている。

 文春の記事のタイトルからはかなり乖離がある。

文春が五輪批判にフランス人記者を利用

 ダバディ氏はこの記事に苦言を呈している。

週刊文春・Yahoo!ニュースが私の報告にこのような敵対的なタイトルをつけたことは残念です。私は建設的な批判をしましたし、同様に良い点もたくさん言いました。彼らは東京2020の曖昧な批判に乗っかるため、私を利用しようと企んだのです。悲しいジャーナリズムです。

 極端なタイトルを文春が付けたとお怒りの様子だ。文春の記事で、ダバディ氏が日本を褒めている文言は以下の箇所だけだ。

仕事をする上で、MPC内の運営は素晴らしい。スペースもしっかりあって、無線ランを含めて設備は完璧。取材のアポイントも手伝ってくれます。そういった意味での『おもてなし』はできていますが、多くの海外プレスは、ホテル、移動、食事がちゃんとケアされていないことで、帰国しても『東京オリンピックは素晴らしかった』とは思ってくれないでしょうね。残念ながら」(ダバディ氏)

 しかしこれも結局は否定的な文章に繋がっている。これ以外の称賛コメントは削除されたとみられる。

 また、文春の記事内にこのような記述がある。

MPC内の食事については、すでに複数の海外記者がツイッターなどで不満を漏らしている。フランス人記者は開会式の前からハンバーガーの写真を掲載し、「MPCバーガー。ゴムのような肉、冷たいパン。合わせて1600円」とつぶやいた。

 ダバディ氏の言葉の直後に置かれているうえ「フランス人記者」と書かれていて分かりにくいが、この箇所はダバディ氏が語った事ではない。しかし、ダバディ氏が語ったと勘違いした人がダバディ氏に「傲慢だ」と指摘した。これに対し、ダバディ氏は以下のように反論した。

日本語が読めるのだからよく見てください。否定的なタイトルに限らず、ハンバーガーのエピソードも私の言葉ではありません。週刊文春にはがっかりしました。私の客観的な報告を利用して日本の否定的な意見に加担したのは残念です。

外国人批判にも加担?

 文春の記事を読んでいて気になる部分は他にもある。別のフランス人記者の言葉として以下のようなものも取り上げられている。

東京都の人口が約1400万人にいる中の4000人程度でなぜこんなに厳しいのか理解できない

 この文言は様々な捉え方をされる恐れがある。まず、海外と比べて少ない感染者数でも医療体制がピンチに陥る日本の状況に問題提起しているという見方だ。行政に対する批判である。

 このほか、日本の状況を外国人記者が理解していないという印象を読者に持たせる可能性がある。外国人への批判的な感情を煽るような文章構造になっているようにも感じられる。

 実際に、Yahoo!ニュースのコメント欄はこの記者に対する批判的な意見が多くみられる。

 週刊紙を「報道機関」と呼ぶべきかどうかは議論があるだろうが、少なくとも週刊紙の情報を需要視してはいけないと実感させられる一件だった。

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