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「鳥取の渇え殺し」後の惨事が、「リフィーディング症候群」なのではという話は昔からあったような気がしますが、医学論文は今回が初めてなんですね。

 12月9日の朝日新聞デジタルに、「兵糧攻めから生き残ったのに、食事したら死んだ? 医師らが論文発表」という記事が出ています。

 この記事の元ネタは、「The American Journal of the Medical Sciences  December 2023,Volume 366,Issue 6」に掲載された「Hyoro-zeme in the Battle for Tottori Castle: The first description of refeeding syndrome in Japan」です。

 羽柴秀吉による鳥取城攻めは、「渇え殺し」と呼ばれ、日本史上最も過酷な兵糧攻めの一つとされています。落城後、久しぶりに食事した城兵らの多くが命を落としたという惨事が、日本最古の「リフィーディング症候群」の事例とする医学論文が、初めて発表されました。今まではあくまでも逸話とされていましたが、今回の論文で、これが「危険性と重要性を伝える重要な歴史的記録」とされました。

 「リフィーディング症候群」とは、低栄養状態の患者に急激な栄養投与を行うと、低血糖や電解質異常を起こし、死亡を含めた重篤な合併症を引き起こすものをいいます。
 この論文を執筆した一人である東京都立多摩総合医療センターの鹿野泰寛医師「あくまでも状況証拠的に、原因が同症候群だったと推察するのは妥当、とするのが論文の趣旨」としており、また同じく論文執筆者の一人である鳥取県立博物館の山本隆一朗学芸員は「渇え殺しを知っている人は多く、同症候群を原因とする声も多かったが、きちんと論文として提示された意義は大きい」と述べています。

 なお、元ネタの上記リンク先の論文を読むには、お金がかかりますので、ご注意ください(比較的詳しい概要が12月5日付けの「日本海新聞」に出ていますので、そちらでも十分かもしれません)。

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