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「お蔵入り」になっている資料って、全国各地に一定数存在しているはずです。

 12月2日の朝日新聞デジタルに、「「あるかないか言えない」 世界遺産めざす佐渡金山でお蔵入りの名簿」という記事が出ています。

 記事の中では「佐渡鉱山史」と「半島労務者名簿」がお蔵入り資料、「資料があるかないかすら言えない」という状況になっているとされていますが、このような資料は全国各地に一定数存在すると思います。
 考えられるのは、今回の記事のような戦時中の資料、特に朝鮮人労働者関係が多いと思います。
 個人的な経験で言えば、原発関係資料です。細かくは書けませんが、初めは閲覧できていた資料が、途中で閲覧できなくなり、やがてあるかないかも答えてもらえないと、まさに今回の記事と同じような、非常に苦い経験があります。

 これらの資料が閲覧できない、またはあるかないか言えないというのは、その資料に行政や企業にとって都合が悪いことが書かれているからだろうということが分かるわけですが、時にどこかどう都合が悪いのか分からない場合もあり得ます。特に行政では資料を公開することで何か問題が起こる「おそれ」や「可能性」だけで、公開しないという判断が下されることがままあります。あるいは、将来的には公開できるかもしれないが、今は関係者が存命しているとかで何らかの影響が出る可能性(これもあくまでも可能性です)があるので、ということがあります。
 もちろん過剰に反応していると思わないわけではないのですが、確かにその資料が出ることで、大騒ぎになるかもしれないと思えば、出したくないのが人情というもので、その気持ち分からなくはないのですが(ましてや、今回記事に添付されている写真の中に、「佐渡鉱山の朝鮮人寮へのたばこの配給台帳に挿入されていた徴用者の名簿の写し」が出ているのですが、個人が入手した資料を第三者に再提供する、特に今回はマスコミに提供することで広く一般に知られてしまったので、このような行為は行政の態度を硬化させる可能性があります)、非公開ならばいつになったら公開されるのかとか、どのような条件になれば公開されるのか、あるかないか言えない理由が言えないのも答えないのかなどといった、次につながる情報ぐらいは答えてもらいたいですね。
 
 永久に出せない資料というのは存在しません。公開できない理由の大半は関係者に影響があることに対する懸念だと思われるので、100年ならば、世代を超えてまだ人々の記憶に残っている可能性が高いので、関係者に影響が出る懸念もありますが、150年ならばどうでしょう。今から150年前の明治初期のことが伝えられているものなどほとんどないでしょう。むしろその頃のことならば、知られることの方が重要になってくるのではないでしょうか。
 我々は過去からしか学ぶことはできないわけで、資料はそのために必要な財産です。学べないために知らないがゆえ、かえって問題が起こることもあるわけで、知ることで理解し、課題を乗り越える可能性を考慮する方が、より発展的だと思いますが、違いますか?

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