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東北大学大学院環境科学研究科の「外邦図デジタルアーカイブ」が、リニューアルされて公開されています。

 「外邦図デジタルアーカイブ」は、19世紀後半から20世紀初頭のアジア太平洋地域を中心とした旧日本軍製地図のデジタルコレクションで、「外邦図とは「外地の地図」を意味し、戦前に軍事目的で作成された国外の地図を指します」。「19世紀後半から20世紀前半にかけてのアジア・太平洋地域における地球科学的景観の詳細な記録として極めて高い価値を有しています」。

 「明治時代から第二次世界大戦終結までの間、日本の地図作成は旧日本帝国陸軍の参謀本部陸地測量部によって行われ」、「日本領土の地図だけでなく、日本領土外の地図も作成していました。外邦図として残された地図は、縮尺は主に1:25,000から1:500,000で、その地理的範囲は、北はアラスカまで、東はアメリカ本土とパナマ地峡、南はオーストラリア、西はパキスタンやアフガニスタンの一部ならびにアフリカ大陸東部までカバーしています」。「外邦図のほとんどは極秘に分類され、戦後はその多くが破棄されたり、没収されたりしました」が、「当時の研究者たちの努力により、東北大学などの研究機関に引き渡されたもの」です。
 今回リニューアル公開された「外邦図デジタルアーカイブ」は、「主に東北大学・お茶の水女子大学・京都大学・大阪大学に残された外邦図の電子的カタログとデジタル画像を管理し、その平和的な学術利用の促進を期待して地図画像の閲覧システムを公開するものです」が、「現在は一時的に、サイトの全面的な更新作業のため、東北大学所蔵の画像のみを対象として利用でき」るようになっています。

 登録されている外邦図の図幅数は12,282、そのうち表示可能な外邦図図幅の画像数は10,512です。なお、「外邦図デジタルアーカイブ」は上記の日本語版サイトだけでなく、英語版サイトも用意されています。

 このデジタルアーカイブには、以下の4つの機能が備わっています。
・Search by Map:世界地図のインデックスマップを利用した外邦図の検索
         と地図画像表示
 世界地図のインデックスマップを参照しながら、視覚的にアーカイブに含まれる外邦図を検索することができます。

・Search by List:図幅リストを利用した外邦図の検索と地図画像表示
 外邦図のデータベースを検索して、地図名や出版年などのメタデータと詳細な地図画像へのリンクを持ったサムネイル画像で外邦図を確認できるシンプルなリストを表示します。

・Featured GIS Apps:外邦図デジタルアーカイブに基づくオンラインGIS
          アプリ
  Gaihozu Viewer (GV)は、東北大学が所蔵する外邦図の中から現在のインドネシアの領域に位置するジオリファレンス済み地図画像約680点を、ArcGISOnlineの技術を用いてインタラクティブに現在の地図や地形とあわせて閲覧できるように設計されています。
 図郭検索アプリ(GaDAMA)は、Search by Map 機能の前身となるアプリで、前システムのデータの仕組みに基づき、現在は一時的に利用できない他機関所蔵の外邦図の図郭やメタ情報をみることができます。

・Featured Articles:外邦図デジタルアーカイブに関連するアプリや地図画像
         の簡単な解説記事
 外邦図アーカイブとその19世紀末から20世紀初頭にかけてのアジア太平洋地域の地図コレクションに関するショートストーリーで、残された外邦図を具体的に閲覧すると、どのような記録が読み取れるのかを簡単に解説したもの


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