幸重善爾(ユキシゲゼンニ)
岨手由貴子監督の「あのこは貴族」(原作=山内マリコ 脚本=岨手由貴子)は、経済格差以前の〈カースト制〉ともいうべき社会階級の差異が日本にもあり、そのなかで生きる二人の若い女性を描いていることから、観た人の間では〈階級差の存在〉にもっぱら注目が集まっている印象がある。 確かに原作はタイトルからもわかるように、視点が地方出身者の、閉塞的な地方の社会から大都会東京に出てきた美紀(水原希子)寄りで、生まれも育ちも東京、良家の子女・正真正銘の箱入り娘である華子(門脇麦)に向けられ