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ある特殊能力について考察してみた


世の中には特殊能力を持った人間が一定数存在する。

方向音痴の僕からしたら、迷わず道を歩く能力は特殊能力と言える。

また、絶対音感を持っている人も凡人からすれば特殊能力。


ただ、これだけは特殊能力と認めたくない能力がある。

それは、いかなる天候も「晴れ」にしてしまう能力である。


そんな能力を持っている人は「晴れ男」「晴れ女」と呼ばれている。

厳密に言うと、呼ばれてなんかいない。

多くの場合、自称している。

晴れ男


彼ら曰く、いかなる天気も「晴れ」にする力を持っているらしい。

厳密には、必ずしも「晴れ」じゃなくてもいい。

雨さえ降らなければ彼らの力によるもののようだ。


その能力は特に彼らにとって重要な予定が

屋外で催されるときに発揮されるとのこと。

また、コントロールできるものではなく無意識的に発動するらしい。


そして彼らが言うには、

「雨男」「雨女」なる対抗勢力も存在するらしく、

この対抗勢力が存在すると「晴れ」の力が負けてしまうとのこと。

だから、近くに「雨男」「雨女」がいると雨が降ってしまう。


そのため「晴れ男」「晴れ女」は雨が降ると

「この中に雨男(女)いる〜。だれ〜?」などと

対抗勢力を躍起になって探す習性がある。

犯人探し


「晴れ男」「晴れ女」の特徴をまとめるとこんな感じ。

① 雨を阻止する力がある
② 重要な予定があるときに無意識的に発動する能力
③ もし雨が降った場合は「雨男」「雨女」によるものとされる


聞いているだけでバカバカしい。

たかが人間に天候を左右する能力があるわけがない。


そう言ってしまいたいものだが

かと言ってこの特殊能力が存在しないという根拠は別にない。


だから、僕なりに「晴れ男」「晴れ女」について

考察をしてみたので暇なら読んでみて欲しい。


ここから先は不要不急の考察です。


必要至急の用事がある方はここいらで

noteを閉じた方が有意義な時間を過ごせることでしょう。

スマホ


さて、

「晴れ男」「晴れ女」について考察するにあたって

調べておかないといけないことがある。

それは、そもそもの日本の天候についてである。


もし日本の天候のほとんどが雨ならば、

雨を降らさない能力は素晴らしい能力であると言える。


逆に、日本があまり雨の降らない国ならば、

雨を降らさない能力は特段すごい能力ではない。

もはや、能力とは言えないかもしれない。


それでは一体、日本は1年のうち何日ほどが雨なのでしょうか?

実際に、日本の平均降水日数を調べてみたところ

このような結果になった。


365日中雨が降るのは平均120日で、全体の33%程度だ。

平均降水日数

出典:【社会生活統計指標-都道府県の指標-2015政府統計総合窓口】


「晴れ男」「晴れ女」の特殊能力がなくたって

一般人でも高確率で晴れを呼び寄せることができているのだ。


日本に住んでいさえすれば

誰でも「晴れ男」「晴れ女」になれるわけだ。


これが「晴れ男」「晴れ女」の正体なのである。

コナン モザイク


と言ってやりたいところではあるが

少しまだ気になることもある。


「晴れ男」「晴れ女」の話を聞くと

どうやら晴れにできるのは

6割や7割の話ではなさそうなのだ。


9割もしくは百発百中と言わんばかりの口ぶりなのである。

実際の天気と2〜3割ものズレが生じている。

あれれ〜 モザイク


そこで、

この2〜3割ものズレを説明するのにあたって

必要な要素として「雨男」「雨女」の存在を思い出してもらいたい。


もう一度「晴れ男」「晴れ女」の特徴を見てみよう。

① 雨を阻止する力がある
② 重要な予定があるときに無意識的に発動する能力
③ もし雨が降った場合は「雨男」「雨女」によるものとされる


注目すべきは③の特徴である。

晴れたときには自分の力によるものだと主張する一方で

雨が降ったときは自分の力不足とは認めず

「雨男」「雨女」のせいにしてしまうのだ。


このような

成功したときは自分自身の能力によるものであり

失敗したときは自分ではどうしようもない

外的な要因によるものだと思いこむ考え方を

心理学的には自己奉仕バイアスと言う。

手柄横取り

例えば、

試験の点数が良かったときは「自分は頭がいいから」と考え

点数が悪かったときは「運が悪かった」と考えるようなことだ。


読んだことのある人も多いだろうが、

ジョン・C・マクスウェル氏の著書

「『人を動かす人』になるために知っておくべきこと」

の中でもこのように紹介されている。

人が時間をかけるのは、要領が悪いから
自分が時間をかけるのは、丹念にやっているから

人がやらないのは、怠慢だから
自分がやらないのは、忙しいから

言われていないことを人がやるのは、でしゃばりだから
言われていないことを自分がやるのは、積極的だから

人がルールを守らないのは、恥知らずだから
自分がルールを守らないのは、個性的だから

人が上司に受けがいいのは、おべっか使いだから
自分が上司に受けがいいのは、協力的だから

人が出世したのは、運がよかったから
自分が出世したのは、頑張ったから


自己奉仕バイアスには、

成功時に自信につながるというプラス面がある一方で

失敗時には外部の失敗要因ばかりを集めてしまい、

自省ができなくなるといったマイナス面もある。


「晴れ男」「晴れ女」の場合、

外部の失敗要因として「雨男」「雨女」という

空想の対抗勢力を妄想してしまうほど

重度の自省機能障害に陥った哀れな人達なのである。

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以上のことから、「晴れ男」「晴れ女」というのは

自己奉仕バイアスによる妄想が行き過ぎた日本人

という結論に至った。



最後に、ここからは

「晴れ男」「晴れ女」の方々に向けた耳寄り情報。


平均降水日数は120日とご紹介したが、

これはあくまで平均であり都道府県によって異なる。


日本で最も平均降水日数が多いのはこの2県

 富山県 174日(47.67%)
 石川県 174日(47.67%)

自分の力試しをしたい方は

ぜひこの2県で修行をしてもらいたい。


逆に日本で最も平均降水日数が少ないのはこの3県

 宮城県 100日(27.40%)
 山梨県 100日(27.40%)
 岡山県 100日(27.40%)

自分の「晴れの力」に自信をつけたい方は

この3県に住むことをおすすめする。


現場からは以上だ。

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