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値上げをした方が多く売れた理由

今日、こんなツイートをしてみた。


 これは、僕が実際に取り扱っている商品で起こった事例。不思議なことに、値上げをしたにも関わらず成約件数が2倍以上にも達した。この不思議な購買現象を理解をすることができれば、営業力が上がるだけでなく、自分の購買意欲のコントロールにも役立つんじゃないかと思って記事にしてみた。


まず理解しておいて欲しい前提条件がある

それは、1人のお客さんに対して両方の金額を提示している訳ではないってこと。30,000円の金額を提示された人は36,000円の金額の存在を知らないし、36,000円の金額を提示された人は30,000円の金額の存在を知らない。だから、1人のお客さんが30,000円と36,000円との金額の比較はできないということをまず理解しておいてもらいたい。

そのため、「36,000円の方が高い金額であるから高い価値を期待した」という回答については、可能性として考えられけど、納得のいく答えに至らない。


購買判断のパターン

次に、人がモノを買うかどうかを判断するときのパターンを知っておいて欲しい。かなり簡素化しているので少し語弊はありますが、大きく3通りある。

(1) 安いから(得だから)買う
(2) 高いから(損だから)買わない
(3) 価値がわからないから買わない

まず、目の前の商品が高いのか安いのかを判断する。厳密に言うと、買ったら得なのか、損なのかを判断する。得だと思えば買うし、損だと思えば買わない。そして忘れてはいけないのが、価値がわからないものは買わないという選択をしてしまうということ。だから、そもそも人がモノの価値をどのようにして判断しているのかが、購買行動において重要になってくる。


価値判断の特徴

人が商品の価値を判断するとき、何か別のモノと比較することでしかできない。それは類似の商品に限らず、違うジャンルの商品・過去の購買経験・給料などの経済状況を基準に、高いか安いか判断する。そして今回重要になってくるのが、比較する対象が多ければ多いほど価値判断は正確になるということ。逆に、比較対象が少なければ少ないほど価値判断は曖昧になってしまう。


年単位での価値判断が苦手

そして、人間は年単位で価値を判断することがあまり得意ではない。理由は簡単で、年単位でお金を扱うケースが少ないから。年単位でお金を扱うケースが少ないから、価値を判断するための比較対象が少ないのだ。多くの人は月単位でお金を扱っている。ある商品を目の前にしたとき、給料・家賃・光熱費・習い事・携帯代・お小遣い…など、価値を判断する上での比較する対象がかなり多い。そのため、「年間●円」という金額を提示されるよりも、「月額●円」と金額を提示される方が、正確に価値を判断できる傾向にある。


今回の場合

お客さんに提示している金額は、どちらも「年間●円」という表記だった。

しかし、年間36,000円という表記の方が、月額を直感的にイメージさせやすかった。12で割り切れることが瞬時に判断がつくため、パッと見で月3,000円という計算ができる。そして、月3,000円という価値は、年間36,000円よりも高いか安いかの判断がしやすくなる。例をあげるとすると、「安い飲み会1回分くらい」といった具合に比較対象が見つけやすい。その商品が「月1回の安い飲み会」と比べて価値があるかどうかを判断することができる。


でも、年間30,000円だって12ヶ月で割ったら2,500円と計算できない?

確かに、年間30,000円という数字も12で割れば2,500円と計算ができる。ここで最初に説明した前提条件が鍵になる。年間36,000円という数字を見ていれば、同じように年間30,000円という数字を12で割ろうという気持ちになるが、年間30,000円という商品だけを提示されたときにとっさに月2,500円が頭に浮かぶ人は実は少ない。理由は2つ。まず、30,000円を12で割るという計算を瞬時にはやりづらいから。もう1つの理由が大事で、30,000円という既にキリがよく良くわかりやすい数字を提示されてしまうと、それをさらに計算してやろうなんて心理が生まれづらいから。「年間30,000円」という表記が、最もシンプルで価値を判断しやすい数字になっているものと勘違いしてしまっているのだ。だから年間30,000円という数字を、月額換算せずにそのまま価値を判断しようとしてしまう。

その結果…

・30,000円という見かけ数字に目が行き、直感的に「高い」と感じて買わない
・価値がわからなくなり(高いか安いか判断がつかず)、購買に繋がらない

(2) 高いから(損だから)買わない
(3) 価値がわからないから買わない

ということが起こってしまう。


まとめ(答え)

月額計算をしやすい表記にすることで客の価値判断を助け、「(2)高いから買わない」&「(3)価値がわからないから買わない」という選択を防げたため。

年間30,000円:比較対象が少なく価値がわかりづらい&見かけで高く感じる。
月3,000円:比較対象が多く価値がわかりやすい


正解者

2人正解者(たぶん)がいました。おめでとうございます!

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最後

ご察しの方もおられると思いますが、これはツイートからnoteの記事へ誘導するためのちょっとした実験でもありました。これをきっかけに、過去の記事(2つだけ)や今後の更新を読んでいただけると幸いです。

実験にご協力いただきましてありがとうございました。

現場からは以上だ。


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