気になることがあると

気になることがあると、世界の見え方は変わる。

例えば、株の売買をする人は、投資している会社の業績に関わるニュースが気になるようになる。カレーの作り方が気になる人は、スパイス売り場になにがあるかをチェックしたくなる。恋をしている人は、なにかにつけてその人を想う。

私はどうかといえば、これから1年、『数学セミナー』という雑誌で、数学と科学の本について読書日録のような連載をすることになって、これまでとはまたちょっと違う目で書店の棚を眺めているところ。どういうことか。

仕事に関係ないときは、書店で棚を眺めるにしても、自分が読みたいかどうかを基準にしていればよい。

これが仕事になるとどうか。まず、毎月どんな新刊書があるのかを網羅的に眺めたくなる。つぎに、既刊書も含めて、書店で手に入る本には現在、どんなものがあるかを知りたくなる。その上で、自分の関心だけでなく、その読書日録を読むかもしれない人にも興味を共有してもらえるかどうかだなんて考えたりもする。要するに書店の棚をじっくりまじまじと眺めながら思案するようになる。

いつも言うことだけれども、これは書店の物理的な空間のほうがやりやすい。ネットの検索とレコメンドは、どうしても一度に目に入るものが限られるからだ。

とかなんとか理由をつけては書店を覗きにいくわけである。とはいえ、数学や科学の本を一網打尽という感じで見られる書店はそう多くはないのだけれど。

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