岩波文庫に(勝手に)帯をつけるプロジェクト#04
さて、なぜこんなことをしようとしているのか、という動機をお伝えした。では、実際にはどうするのか。製作に向かおう。
私としては、既存の岩波文庫の帯をお手本にして、同じ仕様のものをつくりたい。
といっても、現在の岩波文庫には、通常、帯はついていない。いや、つく場合もある。少々ややこしいのだが、こういうことだ。
昔の岩波文庫には、帯がついていた。例えば、こんなふうに。
(ボッカチオ『デカメロン(一)』野上素一訳、赤54、1948;第25刷、1965)
現在の岩波文庫では、このような分類を表す帯はついていない。先ほど「帯はついていない」と述べたのは、このことを指す。例えば、こんな具合。
(ノーバート・ウィーナー『サイバネティクス――動物と機械における制御と通信』池原止戈夫+彌永昌吉+室賀三郎+戸田厳訳、青948-1、2011;第8刷、2018)
著者、書名、訳者、シンボルマーク(種蒔く人)の背景が、かつての帯色(この場合は青)で塗ってある。
また、背表紙を見ると分かるように、かつて帯だった分類の「色」は、現在の岩波文庫ではカヴァーの一部にとりこまれている。
(紫式部『源氏物語(八)』黄15-17、2020)
こんなふうに、背表紙には旧版の帯の名残がある。書棚に岩波文庫を並べるとき、この黄色が「日本の古典」の目印となるわけである。
そして、場合によっては、こんなふうに、いわゆる帯が巻かれることもある。
(紫式部『源氏物語(八)』黄15-17、2020)
私がここでつくりたいのは、旧版についていた分類を表す帯なのだった。もう一度示せば、最初にお見せした『デカメロン』の赤い帯である。
目標はご理解いただけただろうか。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?