イヤな記憶から離れる
ぼっとしていると、昔のことが思い出されたりする。
そのまま記憶が甦るままにしておくと(そう、どちらかというと、体が勝手に再生しているような感じなのだ)、ときどき「ああ、そっちはあかんよ」と感じることがある。
なにがどうあかんのかは、その時点では分からないのだが、そのまま記憶を遊ばせておくと、かつて味わったイヤな気分(恥ずかしい思いとか苦い思いとか)が甦りそう、という予感のようなものだけが感じられるのだ。
そういうときはとっさに「ふん」と声を出す。
声というよりも、鼻を鳴らすと云ったほうがよいかもしれない。
つまり、そんなふうにして、自分の気を逸らす作戦である。
これは結構うまくいく。
イヤな気分に辿り着く前に、気持ちが別の方向へ逸れる。
ただし、そこで「あれはなんだったんだろう」と、好奇心が働いて、せっかくいま離れたところへ戻らないように気をつける。
そのためには、鼻唄でも歌えば完璧である。
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