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【法律ネタ】送達受取人について

「使者」と言う表現は間違い?

ごめんなさい、某界隈の言うところの「使者」なんて表現はなかなか見ません。
送達場所・送達受取人について、訴訟代理人たる弁護士ではない者が送達受取人になるケースは本人訴訟において度々みられますが、その多くは、本人訴訟支援者たる司法書士の事業所および氏名につき関係欄に「訴訟関係書類を作成した司法書士」と記載しているのがよくある程度です。

本人と送達受取人との関係

さて、送達受取人について規定した民訴法104条は、家族でも知人でも職場の同僚でも頼れる人に代わりに書類を受け取ってもらうことを指定することができる規定です。当事者の責任において記載するにあたり資格や営利有無につき、これ自体に特に制限はありません(あくまで受け取り単独の話であって、付随する業務とセットで非弁行為等を構成するかどうかの問題はここでは取り扱わないものとします)。したがって「訴訟代理人ではない原則他人」について別違な表現は必要ありません。

「使者」でない穏当な表現は?

某が言うところの「使者」というのは代理人権限を持たない、訴訟代理人としての委任契約に基づかないことを強調したかったのではと推認されますが、そもそも104条自体、便益のために当事者等と連絡の取れる第三者に書類を預けることを広く認める趣旨ですから、それ専用の特別な表現方法を用いる必要はありません。

そもそも送達受取人の届出書に記載する当事者との関係というのは、家族であるとか、友人であるとか、あるいは金で雇ったのか、信頼して書類を預けることができる「原因たる関係」を記載する欄なのです。

その点で言えばI弁護士に送達書類預けるにあたり、信頼関係の裏付け、金で雇ったのか、友人なのかということを記載すべきであり、然るに、某の言うところの「使者」というのは、信頼関係の結果として与えられたロールにすぎないので、ドヤ顔で聞き慣れない言葉を使ってその実は何も書いてないのと同じことなのです。

「使者だから使者なのだ!」はトートロジーですよね?

金で雇ったならそう書くべきなのです。
もちろん訴訟代理人でない弁護士を受取人に指定すること自体は、受け取りについて合意がある限りにおいて問題になりません。ただ、不丁寧な記載であると、書記官さんが民訴法55条所定の委任状を出し忘れているのではないかと連絡してくるかもしれません。

弁護士を受け取り先にを指定した場合に、訴訟委任状の出し忘れではなく、敢えて受け取りだけを委任した契約であると強調したいのであれば、関係欄の記載は「本人訴訟支援者」とか「もっぱら書類の受領のみを委任した者」くらいの表現が穏当であると思われます。

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