[SF小説]やくも すべては霧につつまれて9
「おお、ウィリアム・ムーア大将、ご無沙汰しております」
二階堂は振り返り笑顔を見せる。ウィリアムは二階堂と同じく、地球防衛軍において大将を務めており、配属先の違いはあれど地球から宇宙まで幅広い職務をこなしている。
それゆえに先ほどの会議にも防衛軍の上層部として参加していた。
「…先ほどの決議、どう思いました?私はどうも、もやもやするというか、本当にこれでよいのかどうかと考え込んでしまって…」
ウィリアムの言葉に二階堂も少しだけ笑顔を曇らせる。そしておもむろに口を開く。