見出し画像

幼なじみと約束(声劇用恋愛台本→男1女1)


A→弥月(ミツキ)…男、あだ名は「ツッキー」
                               気だるげだが文武両道
B→結愛(ユア)…女、明るい。勉強は少し苦手

A「幼馴染。フィクションでは良いように書かれる事が多いけど、現実はそんなにいいものじゃない。俺にも幼馴染がいる。小さい頃は一緒に遊んでいたが、思春期の訪れと共に疎遠になり、高校生になった今では、話すのも気まずいくらいだ。」

B「おはよ〜〜、ね、今日体育あったよね??
あーどうしよ…ジャージの上忘れたぁ…」

A「小中高と同じ学校なのに、どうしてここまで変わってしまったんだろう」

B「隣のクラスに行って貸してもらおうかな…だってTシャツだけだと、男子の目線がキモいし…」

A「いや、変わったのは俺か…ユアは昔からクラスの中心にいた。」

B「うわ!キモ!!絶対見せないから!!1限終わったら即借りに行く!!」

A「対して今の俺は、誰と話す訳でもなく、窓際の席で寝たフリをしている。」

B「もぉ〜やめてってば!リサだって先輩の事
意識して最近髪下ろしてるんでしょ?」

A「俺とは住む世界が違う、変わってしまった」

B「帰り、カラオケ行こ!新曲やっと覚えたんだ〜」

A「そんな言い訳を考えながら1日が終わっていく。はぁ……つまんないな……」

-------------------‐-------------------‐

B「私には幼なじみがいる。昔はよく遊んでいたのに、いつの間にか話さなくなってしまった。小さい頃にした約束、覚えてるのかな。もう忘れちゃってるだろうな」

A「今日の放課後?部活だから無理。」

B「とっつきにくい感じだけど、友達はちゃんといるみたい」

A「明日?明日なら別にいいよ。暇してるし。」

B「そして、意外と女子から人気がある」

A「え?昨日一緒にいた子??あー、なんだっけ...名前、別の学校の子だよ。」

B「彼女を取っかえ引っ変えしてるって噂もある、そんな子じゃなかったんだけどな…」

A「次の授業英語だっけ?寝るわ。当てられそうになったら起こして」

B「また、一緒に遊んだりできないかな……」

A「あ〜〜だるかったァ...じゃ、部活行くわー、じゃーなー」

B「結局何も出来ずに1日が終わっていく
はぁ...つまんないな……」

-------------------‐-------------------‐

A「あぁ、もうそんな時期だっけ…」

B「学園祭!楽しみぃ〜!!ねぇねぇ今年は何やろっか!」

A「ふーん、まぁ部活の時間とか削られなければ、何でもいいよ」

B「屋台、メイド喫茶、お化け屋敷……あ!劇するのとかも楽しそう!」

A「やる訳ないだろ、実行委員なんて。放課後まで時間とられたくないわ」

B「実行委員かぁ…私は参加者として騒いでる方が性にあってるかも」

A「結局クジ、ね。ま、後腐れなくていいか」

B「クジ決め!なんか学園祭っぽいね!」

A「おいおい、嘘だろ……」

B「あれ?これ当たり??」

A、B「あっ……」

-------------------‐-------------------‐

B「放課後の教室に2人だけって…何か変な感じだね」

A「そうだな。準備、できてるか?」

B「うん…多分、大丈夫」

A「ユアはさ…経験、あるの?」

B「ううん、これが初めて」

A「そっか…意外かも……」

B「だから、上手くできるかわかんないけど…」

A「大丈夫だよ、意外とどうにかなるから」

B「え!?経験あるの…!?」

A「そりゃな」

B「何か…複雑な気分……」

A「いいだろ別に。」

B「やだよ!私だけ緊張してるみたいじゃん…」

A「…そんな事ないよ」

B「え、それって……」

「いいから。ほら、そろそろ…」

B「そうだね、時間もないし……」

A「始めるぞ。」

B「うん……」

A「第1回実行委員定例会を行いまーす」

B「わー!!パチパチパチ〜!!」

A「意外だったわ、こういう委員とか結構やってるのかと思ってた」

B「全然ないよ〜、てかほとんど同じクラスだったんだから見てたでしょ!」

A「そういう決め事の時は、寝てた記憶しかない」

B「そんなんだから成績良いくせに内申悪いんだよ…。むしろそっちが経験あるのが意外過ぎ!」

A「委員会じゃないけど、部長やってたからな。」

B「あー、そういえばそうか。要領はいいもんね」

A「そうそう、ハイスペックな万能型だから」

B「自分で言うな!!…………ふふっ」

A「ん?どうした?」

B「いや、なんかさ。昔に戻ったみたいだな〜って!」

A「あぁ…確かにな。」

B「こんなに簡単だったんだぁ、変わっちゃったのかと思ってたけど、大して成長してないね!」

A「人の事言えないだろ」

B「あーあー、もっと早くに踏み出しとけばよかなぁ」

A「ん?なんで??」

B「昔はさ〜、ユアちゃんユアちゃん!って私の後ずっと追っかけまわしてたのに」

A「話を盛るな、そっちも俺の事を追っかけまわしてたろ」

B「えー!ツッキーの方からだけだよ!」

A「おま、その呼び方…恥ずかしいからやめろよ」

B「いいじゃん!呼びやすくてさ」

A「お前しか言ってないぞ、それ」

B「へぇ〜、特別ってこと??」

A「いや、特殊なだけだ」

B「……そうだよね、もう特別じゃないよね。」

A「なんだよ、急に…」

B「ね、小さい頃にした約束、覚えてる??」

A「どの約束だよ、子供の頃なんてしょっちゅう約束するだろ」

B「ふーん、そっかぁ。覚えてないんだ〜」

A「いや、別に覚えてない訳じゃ…」

B「ツッキーてさ、好きな人、いるの?」

A「……ほんとに急だな」

B「どうなの?いるの?いないの??」

A「……いるよ」

B「そう、なんだ……誰??」

A「…言いたくない」

B「そっか…そうだよね……。あー!聞かなきゃ良かったかも!!」

A「自分から聞いたんだろ、それに…」

B「私!用事思い出した!!もう帰るね!!」

A「あ!おい、ユア!!」

-------------------‐-------------------‐

B「わかってた。時間が経つにつれて、人も環境も全部が変わってしまうことくらい。もしかしたら を期待した私が間違っていたんだ」

A「…言いたくない」

B「はぁ……何であんな事言っちゃったんだろ…
久しぶりに、やっと話せたのに……」

---------------------‐-------------------‐

A「あれから、何度か顔を合わせたが、事務的な会話しかできていない。」

B「そっか…そうだよね……。」

A「あの時のユアの顔が、頭から離れない。約束、か。はぁ……あんなの、今になって言える訳ないだろ…」

---------------------‐-------------------‐

A「…こんなもん、だな。後は当日の状況見て臨機応変に、って感じで。」

B「そうだね、お疲れ様」

A「おう、お疲れ」

B「他……何か話しておく事ないかな?」

A「そうだな…いや、段取りについては大丈夫だろ。すげぇ細かく確認したし…」

B「…そうだね」

A「あぁ」

B「……行かないの?」

A「あー……そっちは?帰らなくていいのか?」

B「うん、そろそろ…」

A「…」

B「…」

A、B「あのさ…」

A「あ、悪い、どうした??」

B「う、ううん…そっちから、どうぞ」

A「あぁ……今日で、実行委員は終わりだろ?」

B「もう、まだ本番が残ってるよ笑」

A「そうだけど、そうじゃなくてさ…。その…2人で話すのは最後になるから…」

B「そう、だね…」

A「だからさ…」

B「相変わらず、優しいんだね」

A「え?」

B「大丈夫だよ!気とか遣わなくても!!
あの時は、私も久しぶりに話せて、舞い上がって、ちょっと変な感じになっちゃったけど…」

A「いや、だから…」

B「今ならもう落ち着いてきたし、もう大丈夫!!」

A「はぁ?何言って…」

B「こう見えて、告白された事は何回もあるから振る側の気持ちもわかるし!!」

A「ちが、そういうんじゃ…!」

B「だからほら!一思いにズバッと言っちゃって!!」

A「覚えてるよ!」

B「えっ…?」

A「約束…小学校に上がる直前にしたやつだろ…

B「あっ、うん…。な、内容は…?」

A「……18歳になったらすぐに結婚できるように、高校生が終わるまでずっと一緒にいる、約束するよ…」

B「ぷっ…!改めて聞くと……すごいね……笑」

A「う、うるさいな!子供だったんだから仕方ないだろ!」

B「え〜〜〜じゃあ、今はもうその気持ちはないってことぉ???」

A「いや、ないって訳じゃわないけど」

B「ふ〜〜〜〜〜ん、そうなんだぁ〜〜〜〜(ニヤニヤ)」

A「こ、こいつ……。あーでもその後ユアも言ってたよなぁ???」

B「えっ」

A「私だってツッキーとずっと一緒にいる!だから絶対にお嫁さんにしてね!!約束だよ!!って」

B「ああああぁぁぁ!!」

A「人のこと言えないと思いますけどぉ??」

B「子供!!子供だったの!!!」

A「へぇ〜〜じゃあ、今はそう思ってないんだぁ、悲しいなぁ〜〜〜」

B「むうぅぅぅ…!!そもそもツッキーがいけないんだよ!!!」

A「はぁ!?何がだよ!!」

B「中3になったあたりから急に、悪ぶっちゃってさ!!」

A「なっ!!それは…!!」

B「そのせいで!女の子達から急に目付けられちゃうし!!!」

A「それは俺のせいじゃないだろ!!」

B「満更でもない顔してたもん!!!」

A「してないわ!!そもそも学校では ほぼ寝てたろ!!!」

B「してた!!女の子と帰ったり!!休日遊んだり!!」

A「そのくらい誰だってしてるだろ!!」

B「しない!!色んな女の子と付き合うようになって、私すごく嫌だったもん!!!」

A「はぁ!?俺今まで彼女作った事ないぞ!
!」

B「はぁ!?付き合ってって送ったらOKされたって色んな子が言ってるし!!!」

A「ホントだって!!!ほら!LINE見てみろよ!!!」

B「んん……?いやこれ!!言ってるじゃん!!OKって!!」

A「適当にスタンプ送っただけだろコレ!!!」

B「女の子の一世一代の告白をスタンプで返すな!バカ!!」

A「お前はどっちの味方なんだよ!!!」

B「知らない!!!結局誰が好きなの!!」

A「お前だよ!!!」

B「っ…」

A「当たり前だろ……中3で態度悪くしたのも俺の成績ならもっといい高校にしろ、って先生が
ウザかったからだし…」

B「なんでわざわざ…」

A「約束…だからだよ…。同じ高校に行くのも…。」

B「……ちゃんと言ってほしいかも」

A「えっ?」

B「勢いで言われた感じじゃ嫌だから、ちゃんと好きって言って欲しい…」

A「……わかったよ。
俺は、ユアの事が好きだ。」

B「にひっ、ふへへ…どうしよう、今絶対変な顔してる」

A「おいおい、俺にだけ言わせるのはズルくないか?」

B「私も、ツッキーの事…好きだよ」

A「っ…!昔からこういう時は真っ直ぐなんだよな…」

B「へへっ……なんか、随分遠回りしちゃったね」

A「ふっ……本当にな」

(少し間)

B「私達がこれからもずっと一緒に居られるかは分からない。また離れちゃう事もあるかもしれない。けど……」

A「今この瞬間は、幼なじみという関係も悪くないと…心から、そう思えた。」

〜Fin〜

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?