8/01芍薬甘草湯、抑肝散

今日は漢方薬について学んだ。薬局でよく使われる漢方薬には、芍薬甘草湯と抑肝散の2つがある。漢方というのは漢方医学に基づいて治療が決められる"随証治療"が基本であり、西洋医学のように病名があって薬が決まる、というのとは異なっている。証を決めるには四診と呼ばれる望診・聞診・問診・切診を行なって証を決定する。
まず芍薬甘草湯はシャクヤクとカンゾウという生薬から構成されており、添付文書の【効能および効果】には「急激に起こる筋肉の痙攣を伴う疼痛、筋肉・関節痛、胃痛、腹痛」と記載がある。処方としてはよくこむら返りがある患者に対して頓服処方されており、漢方薬ではあるが西洋医学的に処方がされているとのことだった。芍薬甘草湯にはカンゾウが含有されているため、副作用として偽アルドステロン症に注意する必要がある。そのため漢方であっても長期連用は避けるようにといわれている。
抑肝散はソウジュツ、ブクリョウ、センキュウ、チョウトウコウ、トウキ、サイコ、カンゾウが含有生薬であり、適応としては神経症、不眠症、小児夜泣き、小児疳症(虚弱な体質で神経が高ぶるもの)とある。実際の処方では、認知症を患っている患者や不眠に対して用いられることが多いとのことだった。抑肝散はグルタミン酸放出抑制作用があるため、認知症治療薬のメマリーと同様な薬理作用をもつ。また不眠に対しては、デパスなどの薬剤では転倒リスクがあるために使用を控えたい患者に対して代わりに使われることがある。抑肝散も芍薬甘草湯同様カンゾウを含有しているが、処方としては1日2〜3回に分服して出されることもある。どちらの漢方も副作用はリスクとして考えられるため、漢方だからといっても他の薬剤同様、観察が必要となる。