7/29抗うつ薬、抗精神薬

今日は精神疾患の薬剤を変更する患者が来局した。その患者は今回よりレメロン(ミルタザピン)を中止し、新たにジプレキサ(オランザピン)を開始するとのことだった。レメロンは今年の3月より服用を続けていたが、7月に受診した際に気持ち悪さを訴えていた。それから薬剤追加や変更はなく様子を見ていたが、気持ち悪さや不眠を訴えて今回より薬剤変更となった。レメロンはNaSSA(ノルアドレナリン作動性・特異的セロトニン作動性抗うつ薬)で、α2受容体遮断により抗うつ効果を発揮する。一方、ジプレキサは非定型のMARTA(多元受容体標的化抗精神病薬)で、統合失調症や双極性障害、抗悪性腫瘍剤投与に伴う消化器症状に適応がある。レメロンが処方された当初はうつ病が疑われて処方がされたようだったが、眠れないことや気持ちが悪くなることに対してストレスや苛立ちがあり、その症状はレメロン服用によって治まっていないようだった。そのためSSRIのような抗うつ薬に変更するのではなく、別の精神病薬であるジプレキサへ変更されたのではないかと考えられる。うつ病と双極性障害は見分けがつきにくい疾患とされており、実際にうつ病と診断された患者が最終的に双極性障害の診断となることが20%ほどある報告も挙がっている。
ジプレキサの添付文書には、うつ症状の用量として1日1回5mgから開始し10mgに増量とあるが、高齢者では2.5mgから開始するとなっており、今回の患者は1日1回2.5mgとなっていた。また、重要な副作用として高血糖が知られており、糖尿病患者へは禁忌となっているため、既往があるかどうかを確認して糖尿病の併発がないことを確認した。今回の処方分で忍容性が認められれば、次回以降より1日1回5mgへ増量される可能性があるため、症状の改善と用量の変更に注目して経過観察することとした。